『Clive Davis: The Soundtrack of Our Lives』
(販売元:SMJ)
ドキュメンタリー映画のサウンドトラックは、半世紀にわたるクライヴ・デイヴィスのキャリアを追う、20曲入りコンピレーション。ジャニス・ジョプリンに始まり、アース・ウィンド&ファイアーやアレサ・フランクリンを経由してアリシア・キーズへ。ちょうど折り返し地点にホイットニーの代表曲が収録される美しさ。
ヒップホップ界には名物社長が多い。日本でも間もなく公開される、2パックの伝記映画『オール・アイズ・オン・ミー』で、またも暴れるシュグ・ナイトも、その宿敵だったパフィことショーン・コムズも。
だが、考えてみれば――。ヒップホップ以前の時代だって、ブラック・ミュージックが盛んなレコード会社に限って、名物社長が妙に多かった気がする。モータウンのベリー・ゴーディはもちろんのこと、駐米トルコ大使の息子としてワシントンDC(つまり黒人だらけ)に住んでいるうちにリズム&ブルースに目覚めてしまったアトランティックのアーメット・アーティガン、「幼少期に海で溺れてラスタマンに助けられた」という伝説があるアイランドのクリス・ブラックウェル、などなど。
だが、そんな社長列伝の筆頭にあげるべきは、キャリア50年を経て今も現役活躍中のあの人だろう。
クライヴ・デイヴィスだ。
デイヴィスは1932年生まれの85歳。古くからユダヤ人街があるニューヨークはブルックリン、クラウンハイツで生まれたユダヤ系アメリカ人だ。
「弁護士になるためにハーバード・ロースクールを出たのに、レコード会社に入ってしまった」とは本人の弁だが、そんなキャリアも弁護士事務所への就職がきっかけだった。