アンジーもG・パルトローも被害者!大物Pセクハラ騒動で揺れるハリウッドの性接待(禁)事情

ハリウッドの大物プロデューサーによるセクハラが発覚し、その毒牙にかかった女優の告発が続いている。これは氷山の一角にすぎず、業界内では枕営業が行われてきたのか? そして今、セクハラ問題が噴出した理由とは――。ハリウッドのいびつな雇用環境をひも解きつつ、声を上げた女性の悲痛な思いに迫る。

『ハリウッド映画史講義: 翳りの歴史のために』(筑摩書房)

 ハリウッドの大物プロデューサー、ハーベイ・ワインスタイン(65歳)によるセクハラ問題。アメリカでは大騒動となっており、その様子が日本でも報じられているが、なぜ彼は長年にわたりセクハラを行い続けることができたのか。そして、なぜ今、女優たちは声を上げたのか――。本稿では、現地の状況に詳しい映画業界関係者に話を聞きながら、これらの理由とハリウッドの構造的問題を探っていきたい。

 そもそも今回の騒動の端緒となったのは、2017年10月5日付「ニューヨーク・タイムズ」が告発記事を掲載したことだった。これにより、ワインスタインの約30年にもわたる女優らに対するセクハラ問題が明るみに出たのだ。記事では、女優のアシュレイ・ジャッドやローズ・マッゴーワンらが実名で証言。さらにその後、アンジェリーナ・ジョリー、グウィネス・パルトロー、カーラ・デルヴィーニュ、レア・セドゥら人気女優を含めワインスタインから被害を受けたと女優が続々告白、その数はすでに80人以上(10月末時点)となっていると報じられた。一様にセクハラというよりもレイプ未遂、中にはレイプにまで至った女優もおり、前代未聞の騒動になっている。

 告発だけでなく、15年にニューヨーク市警がモデルを使っておとり捜査で録音した、ワインスタインがしつこく迫る音声がメディアによって公開され、ニューヨーク、ロサンゼルス、ロンドンの捜査当局も性暴力事件として捜査に乗り出したとも伝えられている(15年当時は警察が起訴しようとしたところ、検察に圧力がかかり起訴に至らなかった)。

 ロサンゼルス在住の映画監督・長土居政史氏によれば、『恋におちたシェイクスピア』や『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズなどを手がけてきたワインスタインは、映画界における評価は高く、作品づくりが巧いとされているという。その反面、「彼の意向に従わない人に対しては、二度と出資しない、配給しないなど圧力をかけて潰すといった、強権的なところがあるといわれています」とも長土居氏は語る。

 セクハラの手口は多くのケースで共通しており、駆け出しの女優を「仕事のミーティングだ」「パーティがある」などと言って呼び出し、巨体でもって襲いかかるというもの。被害に遭った女優はその後、大きな役を与えられたり、金を与えられたりと口止めされてきたという。

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