経済学者・飯田泰之が経済史をひもとき、徹底分析! メルカリが勝った本当の“理由”フリマビジネス「中抜き」の構造

急成長を遂げているフリマサービス「メルカリ」。その牽引力となったのは服飾品が容易に安価で売買できることであり、結果この7月には東京証券取引所への上場を申請していることがアナウンスされた。いったい、メルカリはファッション業界の何を変えようとしているのか? 経済学の視点から、専門家に話を聞いた。

メルカリ社内で微笑む、同社CEOの山田進太郎氏。1977年生まれの40歳、メルカリ設立は2013年である。(メルカリ公式サイト内の会社概要ページより)

 フリマアプリ「メルカリ」の勢いが止まらない。代金の決済を仲介してくれる安心感と、積極的なテレビCM投下による知名度の向上で、2013年の登場以来累計ダウンロード数は日米で7500万件を突破。わずか4年で出品点数1日100万点以上、月間流通総額約117億円の巨大市場に成長。先行する「ラクマ」「フリル」をあっさり追い抜き、いまや王者「ヤフオク!」(月間流通総額665億円/以下、ヤフオク)をおびやかすメガベンチャーとなっている。

 その勢いから年内にも株式上場を果たすと噂されているメルカリだが、急成長したウェブサービスならではの弊害もある。今春にはユーザにより、なんと「現金」が相次いで出品され話題に。現在は出品禁止措置がとられているが、マネーロンダリングや多重債務者によるクレカの現金化といった負の受け皿となり得るなど、よろしくない話題を振りまいている。実際メディアも、「妊娠米、使用済み下着まで売買 メルカリを作った男」(「週刊文春」17年5月18日号)、「万引き本800冊出品でも放置! 『メルカリ』は泥棒市場だ」(「週刊新潮」17年8月31日号)などと、メルカリの“反社会的出品物”を引き合いに、ここぞとばかりにメルカリを批判しているのである。

 とはいえメルカリ本来の用途は、あくまでも不用品を手軽に売買できるフリーマーケットとしての役割。なかでもメインの商材となるのは、流通総額の4割を占めるというファッション関連アイテムだ。前述の通り世間では、その企業価値とスキャンダラスな出品のニュースに終始しがちなメルカリだが、本稿で追いたいのは、突如現れた新興企業がファッション市場にもたらした影響のほう。そこで、明治大学政治経済学部准教授の飯田泰之氏に、マクロ経済学と経済史の視点から、この“巨大フリーマーケット”についての分析を依頼した。

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2024.11.22 UP DATE

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