閉鎖的な業界に新しい可能性を見出す――ファッション史から見るゾゾという存在

 ファッションの歴史において、ゾゾはどのような存在に位置づけられるのだろうか? ファッション史などを専攻する井上雅人氏に話を聞いた。

「かつてのパルコでのDCブランドのように、小さなブランドが活躍できる可能性も」と井上氏。

「衣服のファッション史においては、『オートクチュール(注文服)からプレタポルテ(既製服へ)』という“作って売る”形式の変化とはまた別に、『古着からコンフェクション(安物の既製服)へ』という“仕入れて売る”形式の変化があります。ゾゾの存在は、後者の歴史の中に位置づけて考えると面白いと思います」

 その“仕入れて売る”市場に、徐々に既製服が入ってくることで、古着と既製服の比率は次第に逆転していったそうだ。

「“既製服を仕入れて売る”形式の代表例が、百貨店、量販店、総合スーパー、セレクトショップといった存在でした。しかし、ここ10年ほどでその形式のビジネスは壊滅状態に追い込まれた。まず百貨店は高級ブランドが低層フロアを占拠して、ほぼ路面店化してしまった。ビームスやユナイテッド・アローズなどのセレクトショップは巨大企業化しすぎて、セレクトするのをやめて自社製品を販売するようになりました。そして大流行したのが、“作って売る”形式に属するファストファッションだったわけです」

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