「新しい地図」に勝機はあるのか? ジャニーズvsI女史率いる元SMAPの3人の戦いが始まった

『新しい地図』公式サイトより

「やられたら、やり返す」

 かつてのヒットドラマ『半沢直樹』を彷彿とさせるような戦いが芸能界に起きようとしている。9月8日に「ジャニーズ事務所」を退所した元SMAPの草彅剛(43)・稲垣吾郎(43)・香取慎吾(40)の3人。

「これからどんな活動を展開していくのか」と心配する声もあったなか、即座に行動を開始した。

 新公式サイト「新しい地図」を22日に立ち上げたことは、大きな話題となり、ファンクラブの入会者はすでに10万人を超えた。入会金と年会費を合わせて単純計算で5億5千万円以上が入ったことになるが、某芸能プロ幹部は、「あくまでも非公式な数字。本当かどうかは定かではない。一説には盛った数字で、アドバルーンを上げたという説もある。世間にいまだに劣らぬ人気をアピールすると同時に、ジャニーズ事務所に対する脅威を与える効果もある」という。

 さらにSNSなどネットを駆使した戦略も展開。すべては元ジャニーズの幹部としてSMAPを育てた辣腕マネージャーの策という。

「芸能界の古いしきたりとして、事務所を辞めたタレントはしばらくの間表だった活動を暗黙の圧力で制限される。特にテレビなど元事務所とバッティングする仕事は難しくなる。それが顕著なのがジャニーズ事務所」(前出・芸能プロ幹部)

 そこで考えたのが、ジャニーズではご法度だったネットによる活動。退社当時は「芸能界の仕事はしない」と言っていたI女史だが、それは表向きの話。密かに戦略は練られていた。

 I女史が退社するきっかけになったのは、メリー喜多川副社長が週刊文春のインタビューに登場し、I女史やSMAPをぼろくそに批判したことに他ならない。会社の幹部が、功績を上げていた部長とその部下をみんなの前で批判したと同じ。これほどの屈辱はない。「今に見てろ」と思っても不思議はない。芸能界での屈辱は芸能界で返す。

 元SMAPのメンバーと行動を起こすのは必然。彼らにしても、一番頼れるのがI女史だ。これほど心強い味方はない。早々にI女史との行動を共にすることを決めていたという。その背景にあるのがジャニーズの歴史。「ジャニーズを辞めたタレントに成功者がいない」という暗黒の歴史である。事実、成功者と言えるのは、司会業に転身した薬丸裕英。役者になった本木雅弘ぐらいしかいない。「当時、2人はジャニーズとバッティングしないジャンルに進出したことで、邪魔されることがなかった。今はどちらのジャンルも現役のジャニーズタレントが多くいるので難しい」(テレビ関係者)

 結局、行き場を失う元ジャニーズのタレントは少なくない。かつて著者はジャニーズを辞めたジュニアらを追跡したことがある。大半の子は「もう一度、芸能界で」とチャンスを狙っていたが、やがて挫折している。テレビ関係者の話では、「ジャニーズ時代はグループとしての人気。個人としてはとてもタレントとしてやっていける器ではなかった。さらに彼らをサポートするマネージャーがいないことが致命傷でした」

 味方になるマネージャーがいなかったら、アイドルが1人ではなにもできない。

「次世代の木村拓哉」と呼ばれ期待されていたT君。イケメンでスタイルもよくアイドルとして申し分なかったが、「素行不良」で解雇された。一時、原宿でファン相手に「ツーショット写真を千円で撮らせて、小遣い稼ぎをしていたと、彼に話を聞いたことがある。

「誰も面倒を見てくれる人がいないんです」と再就職先の事務所を探していたが、どこも不合格。その後、芸能界を諦め千葉の実家に帰って行った。顏を知られている東京を離れ、京都のホストクラブで働いていた子もいれば、銀座で黒服になった男もいた。「ジャニーズを途中で放り出された人は新たな仕事がなく、手っ取り早いのがその整ったビジュアルを利用した水商売」と言われるのも納得したものだった。人気、実績も十分だった草彅ら3人も、他の事務所は「興味なし」というのが大半の声だった。プロ野球のFA宣言ではより良い条件の移籍を果たす選手もいるが、芸能界にはない。

「ジャニーズを辞めた子の面倒を見れば、ジャニーズと衝突することになる。そんなリスクを背負ってまでマネージメントする事務所はない」(テレビ関係者)

 草彅らがラッキーだったのは、一番信頼できるマネージャーが先に退社し、きちんと受け皿を作って待っていたこと。

「蟻一匹入れない。チリ1つ外に出さない」と言われる要塞のようなジャニーズ事務所。その内部を知り尽くしたI女史と3人。巻き返しだけでなく、「やられたら倍返し」と動き出した。ジャニーズとI女史率いる3人。今後の展開に注目が集まる。

(敬称略)

二田一比古
1949年生まれ。女性誌・写真誌・男性誌など専属記者を歴任。芸能を中心に40年に渡る記者生活。現在もフリーの芸能ジャーナリストとしてテレビ、週刊誌、新聞で「現場主義」を貫き日々のニュースを追う。

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