超絶入手困難の乃木坂46ライブは見切れ席、音席までだめなら音漏れ席があるぞ

齢(よわい)67歳の週刊誌記者が突然アイドルにハマってしまった……余生を乃木坂46に捧げる!そんな覚悟で送る、オジサンのヲタ活ノススメ。

『いつかできるから今日できる(通常盤)』

 去年くらいから毎回チケット落選祭りが起きる乃木坂46のライブ。今年になってからは3期生人気に火が点いて競争率激化「普通に落選」が当たり前のとほほな状況になっている。人気者だった橋本奈々未の2月の卒業コンサートはチケット転売サイトで20万円の高値がつくほどの人気だった。私も仲間が当ててくれたのでやっと行けたわけで、まさに「参加することに意義がある」感はんぱない。今や乃木坂46のチケットは「蜘蛛の糸」状態だ。

 例えばファンを公言する武井壮も個人で申し込んで全落ちしたり、まいやんと映画で共演した山田孝之も落ちたとかつぶやいて乃木坂46ファンがその潔さに共感したりするほどだ。

 私は7月の全国ツアー初日の神宮球場に参加したが、ヒム子こと乃木坂46の公式お兄ちゃん(バナナマン)が飛び入りした2日目は残念ながらチケットは取れなかった。やっぱりくやしい。そしてふと思ったのは通称「音漏れ席」のこと。会場の外にいてライブ中に漏れてくる音を聴くものだが、乃木坂46のクリスマスライブでも12月の寒い中武道館に行って会場から漏れてくる音を聴く人がいるというのを聞いたことがある。

 ならば神宮球場のように屋根がない会場なら音漏れにしても高音質のレベルで聴けるのではないかと。しかもライブ初日は行列がすごくてTシャツなどのグッズが買えなかったので「音漏れ席」を体験してから空いている売り場でグッズを買うことにした。

 2日目のライブ開演には遅れたがとりあえず音漏れ席を確認するため神宮球場に足を運んだ。球場の近くまで行くとライブの音が聞こえ近づくほど大音響になり音の形が整ってきてメンバーの歌声も耳に入ってくる。球場についたそのとたん、前日はミュージカルの舞台出演で欠席だったいくちゃんこと生田絵梨花のセンター曲「ダンケシェーン」が耳に飛び込んできた。「音漏れ」どころではない音の洪水! 一種の感動すら覚える。

 そしてそこで見た光景にびっくり。円形の壁にそってざっと数百人の人が静かにライブの音を聴いているのだ。推しメンのタオルを肩に掛けてはいるが、通る人の邪魔にならないように端に並び静かに聴いている。なんかある種の感動に包まれた私はひとりの若者に声をかけた。すると「チケット全落ちでそれでもライブの会場で生の音を聴きたくてひとりで来たんです」とのことであった。彼のスマホには前日のセットアップリスト(セトリと呼ばれる実演曲目のリスト)が表示されていた。昨日の曲目と比較して楽しんでいるのだろう。なんかいいな。夜になると一部サイリウム振る人がいるがやはりほとんどは静かに佇んで音を聴いている。

 ここに集まっている人たちのほとんどが乃木坂46のモバイル会員のための一次、二次そして一般発売などで指定席、見切れ席、そして音席まで申し込んでも残念ながら当たらなかったのだろう。やむにやまれず来た人たちは、今回はだめでもあきらめることなく次のライブではチケットを当ててライブに参戦しようとまた努力するのだろう。何しろ一般発売ともなればアクセスすること自体が困難な状況で心がそうとうタフでないとめげてしまう。彼らはそれを乃木坂46への愛で乗り切っているのだろう。

 私も来年の神宮が全落ちだったら「音漏れ席」を楽しみに行こうと思っている。一部疑問の声もあるが近所に迷惑を書けるわけでもなく静かに聴いているのだからいいではないか。ライブの大音響が流れる中で球場と接したゴルフ練習場で客が穏やかにスイングしているのもなかなかのどかでナイスな情景だ。

救済手段としての「見切れ席」と「音席」

 そしてこの夏の全国ツアー初日の7月1日の神宮球場ライブにも参加できたが、その席が「見切れ席」だった。「見切れ席」というのはステージサイドつまりメインステージの左右延長線から後に設定された席だ。メインステージでパフォーマンスするメンバーを真横あるいは斜め後ろから見ることになる。当然ながら席がステージから後ろに深く入るほどメンバーの姿が見えにくくなるわけだ。ただ、神宮のようにセンターステージ(メインステージから伸びた花道の先のステージ)がある会場なら、メンバーが花道を走る姿とかステージで正面を向いたメンバーの顔が見れたりするのが嬉しい。近くにメンバーを乗せたトロッコが来ればそれも見れる。武道館は大きなメインステージだけの構成なのでほとんど斜め後ろからしか見れないが、時々メンバーが後ろまで来てくれてこっちに向かって手を振ってくれたりするのが嬉しい。

 それと比べると「音席」はこれがなかなか厳しい。メインステージの真後ろでスコアボードの裏側ということになる。目の前は黒い幕で、ステージはおろかメンバーの姿はまったく見えず、複数あるモニターでライブを見るだけ。ただ嬉しいのはときどきメンバーが来ることがあるということ。埼玉アリーナの橋本奈々未の卒業コンサートでは途中でいきなり音席でワーッという声がしたが、後で聞いたら橋本本人が音席をサプライズ訪問したという。さすがななみんは最後の握手会で夜中までファンと握手を続けたというだけある。やっぱり卒業しないでほしかったなあ。

 音席はメンバーと一緒の空気が吸えてリアルタイムで歌が聴けるというものだ。それでもみんなサイリウムを振ってコールするという、涙ぐましいほどの乃木坂46愛を発揮する。

 時には「音席」で嬉しいこともある。夏の神宮ライブの音席は見切れ席に近いほうの「音席」はスコアボードの端の外側だったのでステージの向こうまで見渡せて花道やセンターステージのメンバーがよく見えたという。要するに同じ「音席」でも運によることになる。

 ところで各席のチケット代だが当然条件が悪くなるほど安くなる。今年の夏の「神宮球場」ではチケット代はアリーナを始めとする指定席が8,800円、見切れ席が6,600円、音席が4,600円だった。もちろん「音漏れ席」はタダだ。

 チケットの発売はアリーナ他の指定席の売れ行きの様子を見てからのように「見切れ席」や「音席」が発売になる。さすがに「音席」は売れ残っている期間が長い。「見切れ席」も「音席」もチケット入手困難な乃木坂46ライブだけに運営サイドが編み出した救済方法といえそうだ。

土肥 真也
1948年生まれ。長年週刊誌記者として実用やエンタメなどの記事を取材・執筆。今も現役でウェブニュースなどの仕事をしている。ハードロック好きでツェッペリンやディープパープルの初来日ライブに行ったことが記憶の中の宝物。しかし、たまたま聴いた1曲で乃木坂46が降臨してしまう。以来座学で数年間乃木坂46を学ぶも、我慢できなくなり昨年初めてライブに参加して初めてサイリウムを振りまくった。その感動を週刊誌に寄稿、以来年下のファン仲間ができて楽しく一緒にライブに通っている。夢は家族席、女性席に次ぐシルバー席を用意してもらい死ぬまで乃木坂46のライブに通い続けること。

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