『デトロイト』――50年間変わらない白人警官による黒人射殺事件

『デトロイト』

自動車産業として栄えた1960年代のデトロイトでは、深刻な人種問題に陥り、黒人の貧困層による不満が爆発していた。やがて、彼らの不満は暴動という形で市内に広がる。そんな中、黒人ボーカルグループが公演のため同市を訪れるも、暴動によりコンサートは中止。市内のモーテルに泊まった彼らを悲劇が襲う……。

監督/キャスリン・ビグロー、出演/ジョン・ボイエガ、ウィル・ポールターほか。日本公開未定。


『ハート・ロッカー』のキャスリン・ビグロー監督の新作『デトロイト』は、今から50年前に起こった「アルジェ・モーテル殺人事件」の真相に迫る強烈な映画だ。

 1967年7月25日、黒人ボーカル・グループ「ドラマティックス」は、コンサートのためにデトロイトを訪れていたが、暴動により公演は中止になった。

 デトロイト暴動は死者43人、負傷者1000人を超え、州軍はおろか、戦車まで出動する事態になっていた。

 デトロイトは自動車産業の街として栄え、1960年までに人口は180万人を超えた。しかし白人たちは郊外の住宅地に一軒家を買い、市の中心部には黒人の貧困層が残った。それに対して市警察は地元の黒人を雇用せず、98%が白人だった。

 白人警官による不当逮捕や虐待が増え、黒人住民の怒りが爆発。警官への投石に始まり、白人が経営する商店への放火や略奪が広がり、警官はこれを暴力で封じようとした。死者の大半は警官に射殺された黒人だった。

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