――一昔前なら、心霊映像はテレビのオカルト番組や、『ほんとにあった! 呪いのビデオ』シリーズのような一般投稿(という体の)ビデオ/DVDなどで怖がりつつ愉しむものだったが、今やYouTubeで膨大な心霊動画が見られる。では、それらの動画は誰がいかにして撮影し、どう受容されているのか? その変遷と最新動向を探りたい。
『ほんとにあった! 呪いのビデオ』シリーズは、実はまだ続いている……。こちらは、8月にリリースされた74巻。
YouTubeをはじめとする動画共有サイトが一般化したことで、かつてはテレビ番組やレンタル・セルビデオ/DVDで視聴されていた心霊映像も、今やネット動画として消費されている。本稿では、この心霊動画の近年の傾向および受容のされ方の変化について考察していきたい。
怪奇現象研究家であり、自身も数多くの心霊DVDの監修を行ってきた住倉カオス氏によれば、「現在YouTubeなどの動画サイトに投稿されている日本の心霊動画のほとんどは、基本的に違法にアップロードされたもの」だという。
「要は、レンタルもしくはセル向けのDVDをリッピングしたものや、テレビの心霊番組を録画したものを権利者に無断でアップしているわけです。合法なのは、ニコニコ生放送の生主など配信者が自ら心霊スポットに赴く通称“凸(突撃)”といわれるものですが、それらの動画には必ずしも何かが映っているわけではありません。もっと言えば、幽霊らしきものががっつり映っている日本の心霊動画は、ほとんどが『ほんとにあった! 呪いのビデオ』シリーズ(1999年~)以降のパッケージの映像を誰かが勝手に上げたものなんです」(住倉氏)
同シリーズに代表される心霊DVDの多くは、一般投稿された映像を検証する“という体”のフェイク・ドキュメンタリーといわれている。ということは、日本の心霊動画はほとんど偽物なのだろうか――。その前に、日本のテレビとDVDで心霊映像がどのように扱われてきたか、ざっとおさらいしておこう。