日本では古くから幽霊とセックスする──色情霊との性体験を綴った作品が多く残されている。それは必ずしも“フィクション”として語られるものだけではなく、現代まで“実体験”として語られているケースも少なくない。果たして、色情霊は本当に存在するのか? 精神科の医師と共に迫ってみたい。
幽霊とのセックス体験は文学やマンガ、映画など、これまでにも多くの作品で描かれてきた。それは果たして、ただの妄想の産物なのか、それとも……。(写真/@prelude2000_flickr)
「夜明け前に金縛りに遭い、目に見えない何かに乗っかられる感覚がありました。そして手探りで上半身を触られたんです。金縛りに遭うとき、いつもだったら首を絞められるのに、その日は手が下に下りていって、股間を触られました。ズボンを下ろされる感覚があって、パンツも脱がされている感じがしました。実際には下ろされてはいなかったのですが……。そして、その後に股間を触られている感触があって、それがすごく気持ちいいんです。はっきりエクスタシーを感じましたし、実際に触られているよりはるかに気持ちよかったです――」
これは幽霊とセックスしたという50代の男性A氏の体験談だ。A氏のように、性的な行為を迫ってくる幽霊、いわゆる「色情霊」に遭遇したという報告例は決して少なくない。ネット上でも「色情霊」で検索すると、こういった体験談が多数寄せられていて、なかには“真剣な悩み”として相談する人もいる。
本来、恐怖や畏怖の対象であるべき幽霊が、エロいことをしてしまっているなんて……。呪いや祟りといった類ではなく、純粋にエロが目的の幽霊など、存在していいのだろうか!
すでに夢精とは年齢的に無縁となってしまった身(筆者の年齢は30代後半)。しかも最近は精力自体衰えているゆえ、寝ているだけでエロい体験ができるというのは非常に興味深い。
しかし、現実的に考えて、色情霊体験とはどのような状態にあるのか? できるだけ怖い要素を排除しつつ、体験できそうな方法を探ってみたい。
そもそも色情霊とは、そのスジのマニアたちの間では「性や恋に対する未練を残したまま死んでしまった者が、その執着から現世で幽霊となり、異性と性交をしようとするもの」とされている。特に日本ではその存在は昔から言い伝えられており、国際日本文化研究センター名誉教授で日本の美術史家・春画研究家としても知られる早川聞多氏によると、随筆などにも色情霊と思わしき現象が数多く書かれているという。