――まだ、日本では未発売だが今後、映画化されそうな海外文学を「未翻訳ブックレビュー」運営者の@kaseinoji氏に選んでもらった。
■人気原作者の次のテーマは行動経済学!?
『The Undoing Project』
Michael Lewis/W. W. Norton & Company (16年)
『マネー・ボール』(11年)や『マネー・ショート 華麗なる大逆転』(16年)など、著作の数多くが映画化されているノンフィクション作家、マイケル・ルイスの最新作。世界的ベストセラーになった『ファスト&スロー』の著者ダニエル・カーネマンと、研究パートナーであったエイモス・トヴェルスキーという、イスラエル出身の2人の学者の友情と別れを描いた伝記、という形を取った行動経済学の入門書です。2人の性格は対照的でキャラが立っており、マイケル・ルイスのほかの著作と比べても映画化されやすいと思いますし、妻から「夫婦より密接」と言われるほどの仲だった彼らは「バディもの」、さらにはBL方面での需要もあるかもしれませんね。
■ニューヨーク版『東京タラレバ娘』?
『All Grown Up』
Jami Attenberg/Houghton Mifflin Harcourt(17年)
日本でもアラサー・アラフォーの女性の自意識みたいなものを描いた小説や映画は多いと思いますが、これもそのひとつです。39歳独身、子ナシ、広告業界勤務の女性が主人公なのですが、ほかとの違いは元アルコール中毒で、今はドラッグ中毒であるなど、主人公のダメっぷりが徹底しているところ。また、作中のヨガインストラクターの親友の結婚式に出たら、「意識高い系」出席者に囲まれて、ボブ・ディランの「Like a Rolling Stone」の大合唱を見せつけられるという、地獄のような目に遭うシーンは映画化したら面白いのではないかと思います。でも、もし映画化されたら日本では『東京タラレバ娘in NY』とかテキトーな邦題をつけられそうですね。