――美智子妃や女性皇族らがみずからの手で紡いだストーリー、そして、彼女たちが愛する我が子のために読み聞かせた数々の絵本たち。それらの本にはやはり、やんごとなきパワーが宿っているのか? 辛酸なめ子氏と共に徹底検証!
『美智子さまから眞子さま佳子さまへ プリンセスの育て方』(こう書房)
秋篠宮家の眞子さまと、国際基督教大学(ICU)の同級生で法律事務所勤務の小室圭さんのご婚約が5月16日、発表された。納采の儀(結納)やご成婚に向けて、多くの書店がご成婚記念の特設コーナーを企画するはずだ(きっと)。そこで弊誌もこの慶事に便乗し、女性皇族にゆかりのある関連書籍をまとめることとしよう。
第2次世界大戦後、もっとも書物について深い理解と愛情を示し、発言されてきた女性皇族といえば、皇后美智子妃をおいてほかにはいない。2015年の「本」が御題となった歌会始では、「来し方に/本とふ文の/林ありて/その下陰に/いく度いこひし」という御歌を詠まれている。書物に対するあふれる愛情や感謝を詠っただけでなく、林、下陰という言葉をつなげることで、「木の根元にある」「本」という漢字の成り立ちを空間的に読み手に想起させる複層的な構造になっている。
この御歌のように、美智子妃は折に触れ、書籍に対する感謝の念を語られてきた。とりわけ童話作家・新美南吉が1935年に発表した掌編童話『でんでんむしのかなしみ』(大日本図書)には、何度も励まされたという。自分の殻が悲しみで一杯になっていることに突如気づいたカタツムリがほかのカタツムリに悩み相談に行くと、同じようにそれぞれ悲しみを抱えていることがわかり、それ以来嘆くのをやめたというストーリーだ。93年に一部マスコミによるバッシングで失声症になるなど、多くの個人的な悲しみを乗り越えられて、天皇陛下と共に数多の公務をこなし、国のために祈り続けてこられたことを考えると、深く頭を垂れざるをえない。
また92年の「狐」が御題の歌会では、「里にいでて/手袋買いし/子狐の/童話のあはれ/雪降るゆふべ」と、同じく新美南吉の童話『手ぶくろを買いに』を詠みこまれた。前年には初孫である眞子さまがお生まれになっていた。美智子妃が皇太子殿下や秋篠宮さまに読み聞かせたこの童話は、愛子さまや眞子さまにも読み継がれ、ゆくゆくは、小室家の本棚にも並ぶはずだ。