成功の鍵は、圧力、妨害、そして根回し?マイケル・オーヴィッツによるハリウッド支配術

――一時はハリウッドのすべてを手中に収めたオーヴィッツ。ここでは彼の敏腕経営術から、支配のやり口を見ていこう。

『ハリウッドを掴んだ男 マイケル・オーヴィッツ』(徳間書店)

■コネと人脈をフルスピード活用!
わずか5年で会社が軌道に乗る
オーヴィッツが5人の仲間たちとCAAを旗揚げした当初、借金こそなかったものの常にカツカツで、電話番はそれぞれの妻に任せるほどだったが、日夜パーティや営業に出かけては人脈を築き上げたことで、5年ほどで米国の最大手エージェント会社になった。逆に古巣のWMEは、主要なエージェントのほとんどをCAAに引き抜かれてしまったせいで、オーヴィッツ失脚まで冬の時代を過ごすことになる。

■趣味は合気道
日本の経営術を取り入れる
ソニーのコロンビア買収と、松下(現・パナソニック)のMCA買収・売却で、秘密裏にフィクサーとして日本企業と接したオーヴィッツだが、こちらの記事でも紹介したジェームス・A・ミラー氏の取材に対し「何事も日本流のnemawashiが重要」と答えるなど、やたらと日本の経営術に傾倒。ちなみに、ミラー氏の著作のある章のタイトルが“Gyokai Wo Shihaisuru!”なのだが、特に日本語の意味は説明されていない。

■ゴリ押しもタレントのことを思って
タレント第一主義を徹底
CAAが「パッケージング」によって世に送り出した作品には、『レインマン』や『フォレスト・ガンプ』などがある。提案を断れば今後は自社のタレントを提供しないという、ゴリ押しに近いものだが、これは確実に所属俳優や監督たちを売り込むために作られたもので、俳優たちからは支持されていた。また、創立当初から他社よりも俳優たちの待遇を軒並み上げ、仲介料も6%に引き下げようとしたこともある。

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2024.11.21 UP DATE

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