【写真家・編集者/青木正一】ファッションから見るりゅうちぇる――りゅうちぇるよりもぺこを掲載した原宿スナップ雑誌「FRUiTS」の基準

――テレビで見ない日はないと言っていい、大人気タレントのりゅうちぇる。なぜ、テレビ業界や視聴者にこれほどまでに受け入れられるようになったのか?あるいは、そのジェンダーレスなファッションと話し方は、日本社会に潜む“何か”を表象しているのか? この時代の寵児の本質を、複数の視点から解明していきたい。

青木正一(あおき・しょういち)


1955年、東京生まれ。85年にスナップ雑誌の先駆けである「STREET」(ストリート編集室)を創刊。そして、96年より原宿のストリート・ファッションを被写体にした「FRUiTS」(同)を創刊し、世界からも注目されるように。しかしながら、16年に同誌の月刊発行を終了した。


「FRUiTS」2011年5月号の表紙に載ったきゃりーぱみゅぱみゅ。一方、りゅうちぇるは同誌に登場したことはおそらくないとのこと。

 僕がやっていた原宿ファッションのスナップ雑誌「FRUiTS」(ストリート編集室)の掲載基準は、オシャレか、オシャレじゃないか、ただそれだけでした。ぺこちゃんはデビューする2~3年前に載せたことがありますが、りゅうちぇるはたぶんありません。古着も扱っている10~20代向けのショップ、SUPER WEGO原宿店のスタッフだったという彼は、その周辺では人気があったようですが、彼のことは知らなかったです。

 今、テレビにでているりゅうちぇるを見ても特別オシャレだとは思いません。この何年か、ジェンダーレスなファッションが原宿のストリートでは出てきていて、テレビでもぺえさんのように、より派手なジェンダーレス・ファッションをしたタレントさんが出てきていますよね。面白い動きではあるけど、それがファッション的にオシャレかどうかは別。りゅうちぇるはバンダナを巻くなどワザとヘンな格好をして、テレビ用につくりこんでいるように見えます。

 でもあえて完成度を低くしているのだとしたら、スゴいかも。むかしのきゃりー(ぱみゅぱみゅ)ちゃんがそうでした。

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