――マガジンハウスが刊行する「BRUTUS」「POPEYE」「GINZA」「& Premium」といった雑誌は、オシャレなイメージがつきまとい、スカしたカフェや美容院に置かれていたりする。だが、編集の裏側は必ずしもイケてるわけではなく、しょっぱい現実が横たわっている!? これらの雑誌のトホホな内情を暴きたい。
数年前、ベースボールキャップにチェスターコート、ニューバランスのスニーカーといった姿のシティボーイを街にあふれさせた「POPEYE」。最近は、ビッグシルエットの流行に乗って、こんなスタイリングを提唱しているらしい。
その名の通り、日本の雑誌業界を牽引してきたマガジンハウス(以下、マガハ)。同社の雑誌といえば、“オシャレ”というのが一般的なイメージだろう。美容院に行けば「BRUTUS」「GINZA」が常備され、気取ったカフェには「& Premium」のバックナンバーが揃っていたりする。また、2012年にリニューアルした「POPEYE」の影響で、ベースボールキャップにチェスターコート、ニューバランスのスニーカーというシティボーイが街にあふれた。では、実際の雑誌作りもオシャレに行われているか? 現在10誌ある中で特にオシャレ度の高い前述4誌を軸に、その内実に迫りたい。
まず、4誌の中でファッション色が強く、いずれも近年のリニューアルで息を吹き返した感のある「GINZA」と「POPEYE」だが、ともにAD(アートディレクター)に問題を抱えている。
「GINZA」は、11年5月号のリニューアルで編集長に就いた中島敏子氏(「relax」元副編集長)がADに平林奈緒美氏を抜擢し、刺激的な誌面で高い評価を得た。しかし、14年2月号よりtha ltd.の阿部洋介氏がADとなり、さらに16年末に彼も同誌を離れ、今はAD不在。なぜ、こんな状況に陥ったのか?
「ひとつは、平林さんへの負担が大きかったから。彼女が一人で全ページのビジュアルをコントロールするという体制は、月刊誌では無理があったんです」
そう語るのは出版関係者A氏。そして、平松氏の後任の阿部氏は、もともとウェブなどデジタル領域で活躍していた。
「阿部さんは、中島さんが『GINZA』のデジタル化も視野に入れてADに起用したんです。すると、彼は自分の下に有名なデザイナーを何人も置き、全体の仕事を効率化するワークフローを作った。結果、一定のルールに則って各デザイナーが好き勝手にやり、ADとしての存在意義があまりなくなったんです」(A氏)
しかも、肝心の「GINZA」のデジタル化もうまくいっていない。