ジャニーズの手抜きっぷりは天下一品!? アー写で決まる表現者の価値

――アーティストはプロモーションのために、流行のファッションを身にまとい、一流のヘアメイクとカメラマンを起用し、宣材写真を撮影する。一般人じゃ真似できないクオリティで太鼓判を押せ……る写真も、実は一握りになりつつある昨今。本稿ではアー写撮影の金の動きからクリエイティブまで掘り下げる!

「森」や「草原」に代表される「自然体」パターン。カメラ目線じゃない偶然感を演出しつつ、さらにここへ「後光」が加えられることも定番。

 アーティストの宣伝用素材として、なくてはならない存在であるアーティスト写真=通称「アー写」。プロモーションの主役が雑誌などの紙媒体からウェブメディアへ引き継がれている現在でも、アーティストの魅力を写真というビジュアル面から伝えるためのツールとして、アー写は大きな影響力を持っている。むしろ、インスタントに記事を発信していくウェブメディアが主流である今の時代だからこそ、それらの記事に必ず付随するアー写のプライオリティは、より高まっているとも言えよう(掲載メディアが違えど、写真がまったく同じ、パターン違いの場合は、それがアー写という認識で問題ないだろう)。

 そんなアーティストにとって大事な存在であるはずのアー写だが、日本人アーティストに関しては、使い古されたパターンばかりが大多数を占めている。そのほとんどが既視感にあふれたものばかりで、大袈裟だが、クリエイティビティのかけらもない写真が世の中を席巻していると言わざるを得ない状況だ。結果的に、その1枚の写真がアーティストとしての価値を落としてしまっている可能性すらあるとしたら……それは死活問題である。

 本企画では、残念なアー写を世に吐き出し続けているアーティストへの警鐘の意も込めつつ、さまざまな分野の業界関係者の声も織り交ぜ、昨今のアー写事情に迫ってみたい。

 通常、アー写はシングルやアルバムなどの作品のリリース・タイミング、あるいはライブ開催前などの販促用ポスターなどで、レコード会社やアーティストの所属事務所が主体となって作成される。そして、音源や資料などと共にプロモーションパッケージとして各メディアへ配布され、メディア側はPR記事やインタビューを作成する際に提供されたアー写をビジュアルイメージとして使用する。広告収入などによってメディア側が潤沢な予算を持っていた時代であれば、インタビュー記事は提供されたアー写を使用することもなく、別途、独自の撮影を行うケースも多かったが、現在のメディア不況下においては、経費削減のために撮影を省き、アー写を使用するケースも増えている。

 そんなアー写の撮影は、どのような形で行われているのか? 大手レコード会社のA&R、Y氏に内情を聞いた。

「撮影費用はアーティストによってピンキリですが、メイクやスタイリング、スタジオに費用を割き、30万円前後で済ませることが多いです。アーティストや事務所側がカメラマンを指定してくることもありますが、そこまで著名でない方や、初めて依頼する方であったら、報酬は3~5万円からの交渉。『思ったより安い』と思われるかもしれませんが、カメラマンによってはアー写撮影は一種のステータスになると考えている方も多いので、即座に断られることは、ほとんどありませんね」

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