――永遠に変わることのない、物憂げな表情をした小さな貴婦人。サブカルをこじらせているのかと思いきや、実は結構メジャー志向?
(写真/永峰拓也)
完璧な美しさを持つ女の子に出会った瞬間、人は「お人形さんみたい」という称賛を口にする。橋本ルルに出会うまで、その言葉は、女の子の刹那的な美を捉えたフレーズだと思い込んでいた。
彼女は、髪形や目の色までカスタム可能なドールヘッドを持つ、唯一無二のファッションモデル。はかなげな表情を浮かべ、球体で出来た関節部によって、自在にポーズを取れる、“球体関節人形”を想起させる柄のタイツに身を包んだその姿からは、四谷シモンや澁澤龍彦らが伝承してきた、古くから続く人形文化の系譜を感じさせる。そんな彼女に、世間はどう反応したのだろうか?
「昔からの人形文化を知る方々に限らず、かわいくなりたいと願う若い女の子たちといった新たな層からも、多くの反響がありました。彼女は人形の延長線上にあるというだけでなく、メイクやファッションの延長線上の存在でもあるんです。中には彼女のメイクを真似た自撮りをSNSにアップしてくれた子たちもいたんですよ」と、話すことのできない彼女に代わって、プロデューサーのmillna氏がうれしそうに代弁してくれた。