【映画監督・堤幸彦インタビュー】「共犯意識を持ちたい」“多作の人”の自己分析

――堤幸彦といえば、押しも押されもせぬ日本の超有名映画監督・演出家だ。『ケイゾク』『TRICK』『SPEC』『20世紀少年』『BECK』……手がけた作品を挙げればきりがない。その堤幸彦が今年の7月クールドラマ『神の舌を持つ男』で、まれに見る低視聴率を記録し、話題になった。堤幸彦は一体どうしてしまったのか?同作の劇場版公開を控えた監督本人に、じっくり尋ねてみた。

(写真/河西遼)

――12月3日に新作映画『RANMARU 神の舌を持つ男』が公開を控えています。前提としてこの作品は、今年7月クールにドラマ版が放映されていましたよね。失礼ながら、視聴率が低い(平均視聴率5・6%)と放送中から話題になりました。これをご自身ではどう振り返りますか?

堤幸彦(以下、) まさに不徳の致すところですね。今年はオリンピックもあって、視聴率はかなり厳しいだろうと想像していたんですが、どこかで自分の作り方が数字的にまだいけると思っていた。

――視聴率は気にされますか?

 気にしますね。それはプロですから、当然。“ヒットメーカー”なんて言われますけど、私はこれまでそんなに連戦連勝ではなく、むしろ数字は低かったことのほうが多い。実験的なことをしてうまくいかなかった作品も多々あります。ただ今回の『神の舌を持つ男』がその流れかというと、ちょっとそうではない気がします。

――堤監督作品には、難解だけどコアな一部のファンに支持されるタイプの作品と、わかりにくいのにヒットするタイプの作品があるように思います。今回は数字を取りに行こうと思ったのか、コアなファンに受ける方向を狙ったのか、どちらなんでしょう?

 それはまず前提が間違っていますね。数字を取りに行かないことはないです。難解さを自覚している作品であっても、数字は0・1%でも多く欲しい。正直、これだけ本数を重ねていても、数字の取り方はいまだにわからない。今回は、自分たちが面白いと思っているものに、ある種の確信を持っていたので、アゲインストな空気感の中でもいけるかと思った結果の敗北でした。ただ、それで作品の価値が減ずるものではないとも思います。

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