【高畑裕太 強姦致傷】の結末は予想通りだった――和解すれば起訴はなし!? 民事と刑事のビミョーな関係

法と犯罪と司法から、我が国のウラ側が見えてくる!! 治安悪化の嘘を喝破する希代の法社会学者が語る、警察・検察行政のウラにひそむ真の"意図"──。

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高畑裕太強姦致傷
2016年8月、群馬県警は、前橋市内のホテルで40代の女性従業員に性的暴行を加えたとして、俳優の高畑裕太(23)を強姦致傷容疑で逮捕。本人は容疑を認め、所属事務所を解雇されたものの、被害女性との間で示談が成立したことから、不起訴処分で釈放された。その後、示談交渉に元ヤクザの介入があったなどと報じられ、ハニートラップ説が浮上している。

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 俳優の高畑裕太が、ホテル従業員の女性への強姦致傷容疑で逮捕された一件。人気の2世タレントによる性的な不祥事というマスコミの格好のネタだっただけに、大騒動となりました。ところが結局、高畑と被害女性との間で示談が成立し、前橋地方検察庁は高畑を不起訴処分として釈放。「週刊文春」は、この件が一種のハニートラップであったとし、元ヤクザの介入によって示談金が1500万円までつり上げられたことなどを報じています。真相はともかく、このあっけない幕切れに対し、「金さえあれば刑事事件ですらもみ消せるのか」など、驚きと反感の入り混じる否定的なとらえ方をした人が多かったようです。

 しかし専門家からすればこの顛末は予想通りで、驚くべきことではまったくない。世間の反応は、民事・刑事上の慣例や法の運用の実態について国民がいかに何も知らないかを示しているといえます。というのも今回のように、事件や事故を起こした者が、民事賠償によってあたかも刑事責任を免れたかのごとく見えるケースはそう珍しくないからです。ただ、その内情をのぞくと、罪種や犯行の様態ごとのさまざまな事情により、表面上そのように“見える”結果となるだけであって、決して「金を払えば刑事罰を逃れられる」わけではない。今回はそうした民事と刑事の関係や法の運用について、いくつかの罪種を例に挙げて解説したいと思います。

 同一の事件において、加害者が民事・刑事両面の責任を問われることはよくあります。ただし、裁判を含め、一方の結果が他方の結果に影響を及ぼすことは基本的にありません。ですから例えば、民事裁判で賠償命令が下されたのに、刑事裁判では証拠不十分で無罪になったとか、民事では裁判前に加害者が被害者に示談金を支払ったのに、刑事ではそもそも起訴すらされなかったとかいった、一般の処罰感情とは乖離した事態が起こり得ます。

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