【COMA-CHI】子どもに背中で語れる母親になりたい―ラップ熱が再燃した孤高の女性ラッパーの紆余曲折10年史

――ラップのみならず、歌をも操るラッパー、COMA-CHI。結婚・出産を経ても、彼女が“表現者”である道を選択したのは、母親としての確固たる決意だった。

(写真/若原瑞昌・D-CORD)

 本誌2016年6月号「ニッポンのラップ」特集以降も、深夜枠のみならず、ラップがフィーチャーされる番組が数多く放送され、宇多田ヒカルの新作には、次世代を担うラッパーとして活躍するKOHHがフィーチャリングで起用されるなど、いまだその熱は冷めやらない。そんな中、「アーティスト寿命が短い」と言われることの多い“女性ラッパー”が、デビュー10周年を迎えた。「デビューした頃は10年間続けることなんて考えてもいなかった」と話したそのラッパーは、COMA-CHIという。ラップに加えて、シンガーとしての資質も持ち合わせた彼女は、この10年間の記録を『C-10』というメモリアル・アルバムに収めた。

「デビュー・アルバムを10年前にインディでリリースし、不特定多数の人たちに届いて反響をもらえたことが、私がアーティスト活動を続けていく上での大きな糧になりました。その後、メジャーデビューも経験して、フィーチャリングの仕事もたくさんこなした。女性ラッパーとして『ラップは男だけのものじゃない!』という環境を作れた自負もあったけど、メジャーでの商業ベースに則った音楽制作は、自分には不向きだと感じました」

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