秋田県鹿角市で入山者らがツキノワグマに襲われて死亡する被害が相次ぎ、駆除した個体の体内から人体の一部が発見されたことが連日ニュースを賑わせた。クマは人を食う、それは、写真家の宮崎学がずっと前から主張してきたことだ。
宮崎はクマの生態を調べるために、70年代から改良を重ねてきた無人カメラでシカの死体の定点観測を試みている。赤外線のビームに動物が触れると、シャッターとストロボが連動して撮影される仕組みだ。撮影者がカメラから遠く離れているからクマに襲われる可能性は、バッテリーやSDカードの交換時以外にはない。写真家の星野道夫がロシアで取材中にヒグマに襲われ、遺体が食い荒らされた状態で森の中で発見された事件はよく知られているが、無人カメラはそうしたリスクを最小限にし野生動物の姿を至近距離から撮るための必然的な選択なのだ。