――主に共産党や過激派、外国人スパイなどの国事犯を取り締まる警察庁と都道府県警察の公安部門、通称・公安。時には内閣情報調査室、公安調査庁といった政府周辺の機関もそこに含まれ、いわゆる諜報機関としての側面が強い、超秘密主義の組織だ。そんな公安を取材する担当記者たちは、果たしてどんなタブーを抱えているのか……? 現役記者たちにその内輪事情を聞いた。
『新装版 公安警察スパイ養成所』(宝島SUGOI文庫)
〈座談会参加者〉
A:新聞公安担当記者
B:テレビ局公安担当記者
C:週刊誌記者
D:月刊誌ライター
A 公安記者のタブーって、俺たち「ハム担」の存在自体がタブーっちゃタブーだよね。
B 確かに(苦笑)。機密情報ばかりを抱えた諜報機関(公安)から情報を抜くのが仕事ですもんね。
C 公安ネタは、芸能スキャンダルほどではないけど、週刊誌でも鉄板のネタ。アンダーグラウンド感があるからか、読者からの反響もいいですよ。
D あの、前から気になっていたんですけど……「ハム担」って、なんの略なんですか?
A 公安の「公」をバラすと、ハとムになるでしょ? だから、公安担当記者のことを「ハム担」って呼ぶんだよ。同じ公安の中でも、中国や北朝鮮などの諜報機関へのスパイ捜査や、国際テロ対策などを担う外事のことは「ソトゴト」って呼んだり。
C 「ソトゴト」といえば、「週刊文春」(文藝春秋)出身の麻生幾さんの『外事警察』(日本放送出版協会)はドラマ・映画化までして大ヒットしましたよね。外事課内でも、新入り捜査官の独習指定文献になってるらしいですよ。その影響力も含めて、やっぱり、今に連なる公安記者の走りは麻生さんなのかな。安全保障問題を身近な問題と認識させたのも、『宣戦布告』(講談社)の功績が大きいですからね。