――2011年、京都で人気のクラブ・WORLDが摘発され、その店長も逮捕された。そのような事態になった経緯と、摘発以後の京都のクラブ事情を整理してみたい。
METROのエントランス(上)と、11年に摘発されたWORLDのフロア(下)。
2012年4月2日、大阪梅田の老舗クラブNOONが「無許可で客にダンスをさせた」として摘発。これを受け、NOONを救済するための音楽イベント「SAVE THE NOON」などを通じて多くのミュージシャンが支援を表明し、注目を浴びた。そして去る6月7日、風営法違反罪に問われたNOONの元店長の無罪が確定したことも、やはり反響を呼んだ。
2010年代に入って、クラブと風営法をめぐる問題が取り沙汰されているが、11年12月2日、京都のクラブ・シーンを揺るがす事件もあった。それが、WORLDの摘発と、店長・中本幸一氏の逮捕。『踊ってはいけない国、日本』(河出書房新社)の編著者・磯部涼氏は、こう話す。
「07年から、WORLDは大阪にあるホテルのラウンジを借り切って『WORLDOUT』という年越しイベントを毎年開催していたんです。10年も例年通り行う予定だったのですが、同時期に大阪アメリカ村でクラブの一斉摘発が始まっており、大阪府警からイベント開催に待ったがかかった。それが11年12月の本店摘発と関係があるのかどうかはわかりません。しかし、大阪発の摘発が過剰化していった流れに、WORLDも飲み込まれたとは言えるでしょう」