金正恩の「核・経済並進路線」を支える数千億円超えの“見えない収入”――北朝鮮を成長させた「核」の経済学

――2016年の幕開けと共に、隣国・北朝鮮がその存在感を世界にアピールしている。1月6日の水爆実験の実施を皮切りに、毎月ミサイルを発射。国連安保理による新たな経済制裁が始まってなお、同国の経済は低い推移ながら“安定”しているとの報道も続いている。かつてはアジアの”最貧国”ともいわれた北朝鮮が、多大な費用のかかる核・ミサイル開発をいかにして続け、制裁を受けながらも経済成長を実現させたのか。これまでの報道をもとに、北朝鮮の謎多き懐事情をひもときながら、その実態に迫りたい。

『揺れる北朝鮮 金正恩のゆくえ』(花伝社)

 去る5月6日、北朝鮮は国の最高意思決定機関である朝鮮労働党第7回大会を36年ぶりに開催した。その党大会に向けてか、今年に入って同国は、核実験の実施に加え、長距離弾道ミサイル、潜水艦発射弾道ミサイルを次々と発射。3月2日には、2006年以降国連の制裁下にある北朝鮮が4回目の核実験を行ったことに対し、国連安全保障理事会(国連安保理)が新たな経済制裁を採択するに至った(下記「北朝鮮VS国連安保理決議の歴史」参照)。

 しかし、党大会を前に平壌入りしたメディアが報じたのは、「我々はずっと制裁を受けてきた。今さら締め付けを強化されてもなんでもない」と、安保理決議を一蹴する市民の声と、ここ数年で急激な変化を遂げた経済の成長ぶりだった。

 北朝鮮の政軍関係論を専門とする聖学院大学の宮本悟教授もまた、同国の「経済成長は明らかだ」と話す。

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2024.11.21 UP DATE

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