禁断のBワードは、日米でどう消費されたのか――女性軽視かリスペクトか? 増加する“ビッチ”ソングの是非

――近年の日本語ラップシーンでは“ビッチ”をタイトルに冠する曲や、ビッチをテーマに歌う曲が増加している。しかも、中には女性ラッパーが参加している曲もあり、女性リスナーから支持されている曲もあるのだ。アメリカのヒップホップシーンから日本へ伝わったビッチという言葉と女性観、その日本での受容の過程、現在のビッチネタ曲の問題点を探る。

アメリカでもっとも成功した音楽プロデューサーのひとり、パフ・ダディ。(Alexander Vaughn from wikipedia/撮影者による撮影意図と本稿は関係ありません)

 KOHH「ビッチのカバンは重い feat. DUTCH MONTANA」、SLOTH「噂のBITCH」、KOWICHI「GANGSTA BITCH feat. MARIA」など、近年の日本語ラップシーンでは“ビッチ”を題材にした曲が増えている。ビッチという言葉について、多くの人は「女性を罵る言葉」と認識しているとは思うが、ヒップホップの世界では女性ラッパーが自らをビッチと呼ぶ例や、“イケてる女”などほかの意味で使われるケースもある。

 そして、これらの曲を女性側が楽しんでいる様子も見受けられる。例えばSLOTH「噂のBITCH」などは、男をむさぼるビッチを戯画的に描いた曲にもかかわらず、若い女性の間で火がつきiTunesヒップホップチャート第2位に。SLOTHのラップに合わせ、2人のギャルが谷間を見せて踊る動画も公開され、YouTubeでは約100万再生を記録した。

 当企画では、表立っては語られづらいこの言葉について、ヒップホップの世界でどのように消費されてきたのかを浮き彫りにしてみたい。まずはビッチという言葉がヒップホップで使われる背景や、その裏にある女性観を見てみよう。

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2024.11.21 UP DATE

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