通信・放送、そしてIT業界で活躍する気鋭のコンサルタントが失われたマス・マーケットを探索し、新しいビジネスプランをご提案!
日米のIT技術者の分布状況 出典:総務省 製造基盤白書(ものづくり白書)2015年版より
話題のキーワード「IoT」。よくあるバズワードのひとつとスルーしている人も多いかも。実は、中身を見ると最新のITと昔からある製造業を結びつけて、ものづくりをアップグレードしようという、まっとうで野心的な試みだ。でも、いまだにネットベンチャーが一段下に見られるように、旧世代とネット世代の仲が悪いのは皆が知るところ。ホントにネットとものづくりが結びつくのか、その現場を知る田中博見さんに聞いてみた。
クロサカ 数年前から、「IoT」という言葉を目にする機会が増えました。「Internet of Things」の略で「モノのインターネット」と訳されるように、これまで通信機能がなかったような機械がインターネットにつながって複数の機械が連携して動くといった、新しいネットの使い方を意味する言葉です。「IoTは新たなビジネスになる」と、さまざまな企業が取り組みを始めていて、遠からず確実に社会に普及し、私たちの生活に大きな影響を与えていきます。そこで、今回はIoTに取り組んでいるベンチャー企業であるビズライト・テクノロジーの田中博見社長をお招きしました。私も経営陣の一員として、お手伝いをしています。そんな私からあらためての確認なんですが、ビズライト社はIoTベンチャーと呼んでいいんですよね。
田中 IoTに取り組んでいることは確かなんですが、何屋さんかというと難しいんですね。もともとはデジタルサイネージ【1】を作っていましたが、そこからIoTにまで手を広げた。IoTは第4次産業革命【2】を実現する必須機能だとよく言われますが、最初の産業革命が蒸気機関、第2次が電気と石油、第3次がITと、それぞれ特徴や結果を具体的に言えるんだけど、第4次については実はいろいろ絡み合っている。IoTは要素のひとつで、ほかにもAIやビッグデータ、セキュリティなど様々な要素がある。その各要素にも僕らは取り組んでいるんです。
クロサカ 確かに、IoTベンチャーと名乗るのは簡単だけど、そうすると何か重要な要素をそぎ落としてしまう。それにIoTというと、「バズワードに乗っかっているだけ」に見えてしまいます。でも、ビズライト社が実際に取り引きしているのは、どちらかというと古くからある製造業で、IoTという言葉は後からついてきた感が強いです。
田中 僕が作っている「BHシリーズ」【3】は、ラズベリーパイ【4】という手のひらに収まるほどの小さなコンピュータをベースにしたもので、工場などの生産現場やデジタルサイネージなどでの利用を想定しています。