スクープもあれば大誤報もあり!王室潜入や盗聴でネタをつかむ!英国タブロイドのゲスな破壊力

――「ザ・サン」や「デイリー・ミラー」など、日本のワイドショーでもしばしば記事が紹介されることがあるイギリスの大衆紙=タブロイド。下世話な紙面で知られるそれらは、同国のいわゆる階級社会とも深く結びついてきた。そして、日本のスポーツ新聞や写真週刊誌ではあり得ない手法で、あらゆるスキャンダルをえぐり出すのだ──。

「ザ・サン」の日曜版「ニュース・オブ・ザ・ワールド」は、数々の記事で行っていた盗聴が大スキャンダルに発展し、2011年に廃刊した。

 イギリスの新聞は、大きく二分される。ひとつは、高級紙(クオリティー・ペーパー)、そしてもうひとつはタブロイドである。

 高級紙には、世界最古の日刊新聞「タイムズ」や「デイリー・テレグラフ」「ガーディアン」「インディペンデント」「フィナンシャル・タイムズ」がある。一方、タブロイドは、日本でいえば「アサヒ芸能」や「週刊実話」などのオヤジ週刊誌、スポーツ紙のようなもので、芸能スキャンダル、エロ、政治家やセレブバッシング、スポーツ記事などを掲載。人々は駅の売店などでその日の見出しを見て面白そうなものを買い、読み捨てていく。

 代表的なタブロイドには、「ザ・サン」「デイリー・スター」「デイリー・ミラー」などがある。これらは新聞名が1面上部の赤地に刷られているので「レッド・トップ」、または「大衆紙」とも呼ばれ、読者層は労働者階級が中心となってきた。もう少し中流階級寄りの層──ロウワーミドルクラスをターゲットにしたタブロイドとしては、「デイリー・エクスプレス」「デイリー・メール」などがある。

 そう、イギリスは階級社会。どの階級に属するかによって、読む新聞も違うのだ。イギリス在住ジャーナリストで『フィナンシャル・タイムズの実力』(洋泉社)などの著書で知られる小林恭子氏は、タブロイドの読者層についてこう解説する。

「大ざっぱではありますが、ブルーカラーの労働者階級、およびホワイトカラーでも大学に行っていないロウワーミドルクラスが主な読者といえます。ミドルクラス以上で大卒以上の知識層が読むのは高級紙。労働者階級と中流階級以上とでは、食べ物の嗜好や余暇の過ごし方、視聴するテレビ番組などさまざまなことが違うため、読む新聞もおのずと異なります」

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