制作予算削減の余波…AKBすらチープに!? シングルCD不要の是非

シングルの存在は今やマイナーに

 メジャーレーベルに所属し、ある程度の売り上げ(それでも2000枚前後)が見込めるアーティストはシングルを制作することができるが、インディでシングルを発売できるアーティストはほとんどいない。目下、配信限定シングルや、アルバムのリード曲のPVを制作し、販売促進につなげ、次作制作への足掛かりを作っている。

AKBの握手券よろしく、さまざまな“特典”が付いて販売されるシングルCD。収録曲を減らし、ワンコインで販売するなど模索は続く。

 去る1月11日、オリコンデイリーCDシングルランキング1位の売上枚数が951枚となり、史上初の1000枚を切る事態となった(過去の最低売上記録は、13年の聖川真斗「うたの☆プリンスさまっ♪マジLOVE2000%」の1102枚)。該当の楽曲は、登場6週目のAKB48「唇にBe My Baby」(とはいえ初週で90万枚を売り上げ、結果的にミリオンを達成している)。その日は月曜日で各新譜リリースの前日となるため、一週間のうち最も売り上げが低くなるといわれているが、それでも1000枚に満たなかったのは、シングルの売り上げ不振の深刻さを物語っている。これをきっかけに、音楽業界ではいよいよ“シングルCD不要論”が沸き起こっている。

 そもそもシングルの売り上げ不振に関しては、8センチシングルが消えた約15年前から、徐々にではあるが指摘され続けてきた。現在売れているシングルといえば、AKBをはじめ、アイドルグループに多い握手券などの“特典”が付いているもの【1】、ジャケットのバージョンが違う初回生産限定盤、またジャニーズ所属のアイドルやMr.Children、B'zなどの根強い固定ファンが多いアーティストに限られている。それでも、シングルはアルバムと比較して制作費がかからず、ヒットが生まれれば利益回収率が高いために、いくら売り上げ不振が叫ばれてもレコード会社が撤退する動きを見せなかったのも事実である。ただ、あまりにも悲惨な現状に伴い、レコード会社はもちろん、販売する小売店の意識も変わってきているという。

「大手CDショップは、“その店舗だけの購入特典”を付けないと、仕入れにも消極的です。これはアルバムにも同じことがいえるのですが、昨今のレコード会社の編成会議は『どんな曲で勝負するか?』ではなく、『どんな購入特典を付ければ売れるか?』といった内容になっています。昨今はメジャー所属のアーティストであっても、出荷枚数が5000枚を切ることはザラです」(大手レコード会社スタッフ)

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