海外ベストセラーの版権を狙え! 巨額が動く出版界のギャンブル 海外小説と版権エージェントの世界

――近年はそこまでヒット作に恵まれないものの、『ハリー・ポッター』シリーズや『ダ・ヴィンチ・コード』など、数多くの海外文学が日本国内でベストセラーとなり、社会現象にまでなった。だが、その裏側で辣腕を振るい、暗躍する“版権エージェント”には、あまりスポットが当たらない──。

映画化もされたスティーブ・ジョブズの自伝。(公式HPより)

 海外で大ヒットした作品の権利をめぐり、エージェントと呼ばれる人たちが暗躍し、時には億を超える金額が動く──。そんなふうに紹介すると、何やら華々しそうに聞こえる海外書籍の版権ビジネスの世界。だが、その実情がどんなものなのかは、翻訳小説をよく読むという人でもほとんど知らないのが普通だろう。

「版権エージェントという言葉自体が日本人にはなじみがないと思うのですが、まず前提としてアメリカやイギリスでは作家にそれぞれエージェントがついているんです。野球選手のエージェントと同じで、彼らは担当する作家が出版社となるべくいい条件で出版契約を結べるように交渉する。そして、私たち日本のエージェントは、その現地のエージェントのサブエージェントであり、日本という国のローカルエージェントという位置づけになります」

 こう解説するのは、タトル・モリ エイジェンシーに所属する版権エージェントの盛川水砂氏。実際には、日本で個人がフリーで版権エージェントとして活動することは難しく、ほとんどが大手版権エージェント会社に所属している。「タトル・モリ エイジェンシー」「日本ユニ・エージェンシー」そして「イングリッシュ・エージェンシー・ジャパン」の3社が日本における3大版権エージェント会社だ。

「タトル・モリは、第二次大戦後に進駐軍と一緒にアメリカからやってきたチャールズ・E・タトル氏が、書籍の輸出入のために1948年に立ち上げたチャールズ・E・タトル商会がその前身。そこから版権を扱う部署が78年に独立したのが、タトル・モリエイジェンシーの始まりです」(盛川氏)

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