中止は負の経済効果が高すぎる! 『けいおん!』『大奥』の源流コミケ“2020年問題”

――東京五輪の開催を受けて、コミックマーケットが中止あるいは移転を余儀なくされる可能性が上がっている。マンガ界に実りをもたらすイベントが置かれた現状とは?

(絵/小笠原徹)

 今年11月4日、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)に伴う著作権法整備を論じた文化審議会著作権分科会会合において、「二次創作は非親告罪化の対象から除外」とするスタンスで今後の検討を進めていく方向性が固まった。何を指すかといえば、いわゆる同人作品は処罰の対象に含まれない、ということだ。この決定に、オタク業界や各ファンたちは快哉を叫んだ。

 商業マンガの世界においても、二次創作の同人誌は忌むべき存在とはされていない。例えば『ハチミツとクローバー』『3月のライオン』で知られる羽海野チカ、あるいは『大奥』などのよしながふみは某名作少年マンガの二次創作出身、人気アニメ『けいおん!』原作のかきふらいも男性向けジャンルで活躍していた人物であり、人材供給源になっている。

 そうした同人活動の“聖地”であり毎年2回開かれる“祭典”が、コミックマーケットだ。オタクカルチャーが巷間広く流布した結果、近年ではその模様がバラエティ番組やニュースなどでも報じられており、かつて「ここに10万人の宮崎勤がいる」と扱われた頃の記憶はすでに薄れている。今夏開催時には全国から55万人が来場し、経済効果は100億円を超えるともいわれるようになった。

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