――「不況の時代にはホラー映画がヒットする」というジンクスがある。真面目に検証すると眉唾物とも思われる説なのだが、閉塞感に包まれた時代に、不満や鬱屈した感情が映像の表現に表れる……というのは、納得してしまう話だ。では、この論理を株価とおネエ系タレントに当てはめてみると……。
↑画像をクリックすると拡大します。※株価と主だった経済の出来事、そして人気のおネエ系タレントの出現、人気の時期をグラフ化。登場する人物の中には、おネエ系タレントなのかトランスジェンダーなのか、はたまた、ただ単に口調がおネエ系なだけなのか、議論があるだろうが、ここでは広義として“おネエ系タレント”としてくくらせていただいた。
テレビは時代を映す鏡……と、誰が言ったか知らないが、その時代の視聴者の消費行動は広告に反映され、テレビが放送するコンテンツには、クライアントの意向が組み込まれる。であるならば、おネエ系タレントの隆盛も、消費行動や株価に影響されるのではないだろうか?
まず仮説検証の材料として、いわゆる“おネエ系”といわれる代表的なタレントや、オカマキャラのタレント、また性同一性障害やゲイであることを公言している有名人を集めてみた(上部グラフ参照)。すると、90年代まではポツポツとしかそのような人物は登場しておらず、2000年前後を境に急増していることがわかるだろう。なおマツコ・デラックスのテレビ初出演は00年頃である。
この傾向と日本経済の関連について、株式ジャーナリスト/個人投資家の天海源一郎氏は次のように分析する。
「日本がバブル景気に湧いていた時期には、おネエ系といわれるタレントはほとんど出てきていませんね。1997年の『山一證券の自主廃業』、98年の『北海道拓殖銀行の破綻』に象徴されるように、日本が金融危機に見舞われました。その後におネエ系タレントが急増した……という点を見ると、経済動向と関係があるように見えます」(天海氏)
なお、バブル期以前のおネエ系タレントについても、そのブームが不景気と重なっている人物が不思議と多い。