なぜ、おネエ系タレントはオシャレなのか? マツコで考える女装の神性と正統性

――女性ファッション誌を広げると、決して多くはないにせよ、おネエ系タレントによるファッションチェック企画を目にすることがある。こうしたタレントたちは、なぜファッションに造詣が深いのだろうか? マツコの独特なファッションと共に、トランスジェンダーのファッション性を見ていきたい。

つけまつ毛のイベントに参加するマツコ。ファッション業界も彼女に注目しているようだ。

 巨体を包み込む真っ黒なドレス。首や耳元を飾るど派手なアクセサリー。時には深紅や青のドレスを着ることもあるが、異形なるエレガンスとも取れるその存在感は、もはや定着している。マツコ・デラックスを語るとき、その独特なファッションを抜きにはできない。それは「女装」ではあるが、ただの「女装」とも違う。マツコ自身は、こうした自らのファッションをどう規定しているのだろうか?

「『性別としての女性』になりたいと思ったことは一度もないの。自分のこと、いわゆる『性同一性障害』ではないことも分かっていたわ。男の体でいることは苦痛ではないし、何も不自由は感じない。頭の中も女じゃない。だけど『女装』はしたいの」

 これは、マツコ・デラックスの著書『デラックスじゃない』(双葉社)の一節である。マツコにとって女装は普段着ではなく、日常から非日常へと脱皮する祝祭着のようなものなのだろうか。マツコにとってファッションはどのような意味を持つのか。それを読み解くためには、トランスジェンダーと異性装のかかわりを俯瞰していく必要がありそうだ。専門家の導きによる深層を探ってみたい。

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2024.11.22 UP DATE

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