セックス、カネ、親バレ、そして夢……AV業界歴17年のしみけんが読む!セクシー女優の自伝その中身とは?

――芸能人による暴露本というものは昔からあるが、昨今ではAV女優も自叙伝を上梓し、自身の半生をたどるとともに、ある種のタブーでもあるAV業界の裏側に触れることも少なくない。

 今回は、紗倉まな、原紗央莉、穂花、麻美ゆま、森下くるみという、現役・元AV女優5人の自叙伝を、先頃著書『AV男優しみけん 光輝くクズでありたい』(扶桑社)を発売した人気男優・しみけんに一読してもらいレビューしてもらった。女優同様、AV業界に身を置いてキャリアは17年、主戦場を共にする同業者であると同時に共演者でもある“AV男優”という視点から見た、彼女たちの姿とは? しみけん曰く「きっと読者のみなさんも気になるはず!」と言い放った〈AV女優になった理由/親へのカミングアウト〉も彼女たちの著書から抜粋した。

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『高専生だった私が出会った世界でたった一つの天職』

■紗倉まな
『高専生だった私が出会った世界でたった一つの天職』
宝島社(2015年)/1,300円

あらすじ:18歳の現役高専生時代に自らAV業界に飛び込み、いまやトップ女優である紗倉まな。彼女が考えるAV女優としての心得や業界裏話、そして自身の恋愛観にも触れ、等身大の紗倉まなが感じられる一冊。

AV女優になった理由:「自分の裸に自信を持ったことはありませんでしたが、何も隠さずに表現することで、自分の心の殻を破ることもできるんじゃないかなと思ったんです」

親へのカミングアウト:「当時は高専の女子寮に住んでいてなかなか実家に帰ってこない娘を『久しぶり~!』と温かく迎えてくれた母。『あ、お母さん、実はね』と唐突にAV女優になることを話し出す娘。『!?!?!?』と言葉にならない反応を返してくる母。……とほほ、本当にごめんなさいという言葉以外見当たりませんでした」

しみけん評価:「まなちゃんは文章のスタイルが独特。自分で書いた文章の後に、(白目)とか自分でツッコミを入れていて面白いんですよね。

彼女が高等専門学校に入学を決めたときのエピソードに、「『コンクリートを作ったり壊したりする!』というところに魅力を感じていました」という一文があるんですけど、そういう感覚を持ってる人ってあんまりいないと思うし、コンクリートを作ることから彼女の人生が開けて、今や押しも押されもせぬトップAV女優――というのもすごい人生だと思う。

「『自分がいいな』と思っている写真は周りの人には『イマイチ』と言われ、自分では『あまりよくない』と思った写真が満場一致で『可愛い』と言われた」「まさに、主観と客観との差ですよね」という文からしても、彼女からはクリエイティブ魂を感じます。また、AV女優の中には親バレ・身バレについて悩む人も多いですが、まなちゃんは母親にAV女優になることを打ち明けて、母親が当時高専生だった彼女の学校にAV出演がバレるのではと心配したときに「学校にバレるくらい有名になれたらいいなと思っているから。バレたらバレたで、その時に考えます」と伝えたと綴っていて、覚悟も決まってたんだなと感心しました。

まなちゃんとはデビュー時から何度も一緒に仕事してますけど、僕はいつも「才能の塊だよね」って言ってたんです。この本を読むまでは、それは天性のものだと思ってたけど、実は後天的なもので、努力する才能があった上でのものなんだなって改めて思いました。次にまなちゃんに会ったら、「いままで才能の塊って言ってごめんね。それは努力の上のものだったんだね」って謝ります!

 業界の人間にとっても参考になる部分も多く、AV女優を目指したい女の子、AV女優になったばかりの女の子にもオススメできる本です」

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『本名、加藤まい』

■原 紗央莉
『本名、加藤まい』
集英社(2009年)/952円

あらすじ:小学生の頃から芸能スクールに通い、芸能界デビューのために上京した本名・加藤まい(原紗央莉)がAV女優としての道を決断するまで、そして恋人との別れや初体験の思い出などを赤裸々に描く。

AV女優になった理由:「試してみようじゃないか。今の私には“白”か“黒”か、“イエス”か“ノー”か、それしか選択肢はない。AVをステップに芸能界の道を探るなんて軽い気持ちで決めるわけじゃないんだ」

親へのカミングアウト:「もう中途半端な活動だけはしたくないの。セックスしている姿を世の中の人に見られたり、ヌードの仕事が多かったりすることにはなるとは思うけど、AV女優という活動からスタートして原紗央莉という人間でとことん勝負がしたいの。がんばりたいの」母は黙ったまま、中身が少なくなって、煮つまったちゃんこ鍋に目を落としていた。

しみけん評: 「紗央莉ちゃんの本は、セックスの描写がとてもリアル。中学3年生、初めての彼と道路から死角になっている駐車場でペッティングをしているときの「固くなった私の乳首に彼は獣のごとく吸いつく」「私の口の中でどんどん大きく膨らんでいく棒状の肉」という表現なんて、官能小説的にビンビン伝わってきましたよ。紗央莉ちゃんって、実はこんな鋭い感覚を持ってたんだって、現場で会う彼女とのギャップを感じました。

彼女のAVデビュー作の撮影時のエピソードに印象的な話があって、「『自分のアソコから漏れたんだ。私は潮を吹いたんだ』と認識した瞬間、情けないのと、惨めなのと、切なさと、やり切れなさといったあらゆる感情が心の中で膨らんで、ぶつかって、そして破裂した」と綴られていたんですよ。これを読んで、「あ、女性って潮を吹くことは情けないと思っているんだ」ということを初めて知りました。特にデビュー作の絡みだと、もしかしたらこういう思いをする女の子もいるかもしれないので、今後新人女優さんと絡むときは気を遣うようにせねばですね。いやいや、勉強になります」

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『籠』

■穂花
『籠』
主婦の友社(2010年)/850円

あらすじ:幼い頃から歌手を目指していた少女が夢を掴みかけた時、AV女優にならざるを得なくなってしまったことを知った。家族と離れ離れだった幼少期や、恋人からのDV……穂花が自身の壮絶な半生を綴る。

AV女優になった理由:「『口約束でも契約だよ。契約を解除したいなら600万円払わないと』水着のグラビアアイドルだと思って契約したのに、フタを開けてみたらヌードやAV出演の仕事を勝手に入れられた」

親へのカミングアウト:「結局、AVをやめてから電話で伝えた。『知ってたよ。何本出たんだ。お金は貯まったのか?』『貯まったけど、今後の生活費として貯めたお金だから』『じゃあ、余裕のあるときは今までみたいに仕送りしてくれるか』いつもの父らしい会話だった」

しみけん評:「看護師として働くために上京して、夢だった芸能界デビューのチャンスを掴んだかと思ったらAV出演だった。拒否したら違約金を払えと告げられた。幼い頃に施設に預けられ、母親が交際していたサラ金の男に誘拐されて同居していた――かなり壮絶なエピソードが多いですね。

AV女優時代、マネージャーと交際してDV被害を受けていたという記述があるんですけど、僕が知る限り、最近のAV業界では女優とマネージャーが付き合ってるっていうのは少なくなったんじゃないかな。一昔前だと、恋愛的な感情というよりも、女優の精神的支柱という意味合いからお付き合いするマネージャーは、結構いたと思いますね。

穂花さんとも何度も仕事していますが、そんなツラい過去があっても、現場ではそれをまったく感じさせなかったし、やはり彼女はプロだったんだなと、つくづく感じます。著書自体はネガティブな内容かもしれないけど、「AV業界にはこういう側面もある」ということを知ることができるし、人生に行き詰まったときに読むと背筋が伸びるような本です。彼女が味わってきたツラさと比較したら、僕なんかまだまだだですよ」

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『Re Start~どんな時も自分を信じて~』

■麻美ゆま
『Re Start~どんな時も自分を信じて~』
講談社(2014年)/1,500円

あらすじ:人気AV女優として、また〈恵比寿マスカッツ〉のメンバーとしてメディアをにぎわせた麻美ゆまが、家族との関係やAVデビューまでの経緯、そして抗がん剤治療中の闘病生活まで、ありのままの自分を書き記した作品。

AV女優になった理由:「AVに出てお金を稼ぐことができたら、仕送りだってもっとできて、両親も少しは楽になるかもしれない。留学の近道にだってなるかもしれない……。もしかしたらこれは私にとってチャンスなのかな……?」

親へのカミングアウト:「実は事務所からアダルトビデオのオファーが来てるんだけど、悩んでるんだよね。ギャラが入れば家も助かると思うんだけど、ママが嫌だったらやらないよ。どう思う?」(中略)「本当はやってほしくはないけど、あなたの人生なんだから、好きにしなさい」その母の言葉が、私のその先の人生を大きく変えることとなりました。

しみけん評:「ゆまちゃんは仕事の現場でいつもムードメーカーで、常に明るい子。撮影が長引いたときも、一番疲れてるはずのゆまちゃんがスタッフに「こっから頑張るよー!」って声をかけていたり、プライベートで落ち込んでいるスタッフがいたら「元気出そっ!」って励ましているところを何度も見てます。そういう天真爛漫なところを見てきたので、著書にあるガンと闘うくだりとかは、ちょっとグッときましたね。

また、病床や幼少時代の写真など、たくさんの写真が載っているんですが、その全部が元気に満ち溢れている。ゆまちゃんのそのままが本になった、という感じですね。

彼女のポジティブさがひしひしと伝わってくるし、自伝としても読めるし、自己啓発本としても機能すると思いますね」

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『すべては「裸になる」から始まって』

■森下くるみ
『すべては「裸になる」から始まって』
講談社(2008年)/476円

あらすじ:高卒で秋田から上京し、スーパー店員として平凡な毎日を送っていた女性が、人気AV女優になるまでの経緯を綴った一冊。AV界のレジェンド・加藤鷹との共演エピソードや、自身のファンと共演する企画AVの現場まで克明に描かれている。

AV女優になった理由:「でも、『もしかしたら会社をやめられるかも』という思いと、本当に漠然とした、対象の確定しない『興味』が、あたしの心の片隅に確かにあった。もしかしたら、このオッサンがもたらした、非日常的な怪しい世界に惹かれていたのかもしれない」

親へのカミングアウト:「やはりAVともなると『うーん』となるらしい。『AVは……どうかなぁ……』と少々困惑してはいたが、数カ月も過ぎてみると『まぁいいか』という構えにあっさり変わっていた。それどころか『ねぇねぇ、見てもいい?』と好奇心を丸出しにする始末。この母の娘でよかった、と思った」

しみけん評:「実は、今回レビューさせてもらった女の子のうち、くるみちゃんとだけは一度も絡んだことがないんですよ。くるみちゃんと僕、デビューした年が一緒なんですけどね(笑)。

この本は、AVデビューのきっかけになったスカウトマンの言葉が詳細に書かれているのが印象的でした。

「若いキレイなうちにプロのカメラマンさんに写真撮ってもらって、それ残しておきたくない?」
「短い期間でまとまったお金が入るよ」
「有名になりたくない?」
「今よりキレイになりたいと思わない?」

と、女の子の好奇心を刺激する言葉が並べられています。

スカウトがきっかけでAV業界に入ったという女優さんも多いですが、女の子が声をかけられたときに暇だったかどうか、スカウトマンが女の子の好奇心をいかに煽れるかどうかが、すごく重要なんですよね。女の子って、一度何かに興味を持ったら実際にやり遂げないと気が済まない傾向にあるし、スカウトされたときにすぐに返事をしなかったとしても、その時に好奇心が煽られていたらいつまでもそのことが心のどこかに引っかかっていたりする。なので、スカウトマンの一言がきっかけで、ある日突然普通の女の子が人気AV女優に転身するということは今後も出てくるでしょうね」

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『AV男優しみけん 光輝くクズでありたい』

『AV男優しみけん 光輝くクズでありたい』
しみけん
扶桑社(2015年)/1,300円

 男なら誰でも一度は憧れる(?)、AV男優という職業のリアルが綴られた一冊。「キミ、うんこ食える?」という電話から始まったしみけんの男優デビューの裏側や、「給料は?」「結婚は?」などAVにまつわる素朴な疑問へのアンサーだけでなく、AV男優に向いている人・向いていない人の分析、すぐに使えるセックステクや女性をその気にさせるハウツーの紹介と、実用的な内容も。

 しみけんいわく「AV男優になるのは何歳からでも遅くない」とのことなので、何歳になってもAV男優への憧れが頭の片隅にある諸君は必読だ。また、「ガチすぎて引かれてしまうので、かなりライトに書きました(笑)」という“うんこ愛”の逸話など、AV男優に興味がない人でも十分に楽しめるエピソードを多数収録。

(取材・文/田口瑠乙)

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