読者の高齢化で社会福祉モノが人気!? 田岡組長との関係を語る自伝も…地方出版社が暴いた地域のタブー

――日本の各地には、その土地独自の文化などを伝える出版社が存在している。その中には、東京の人間にはなかなかアプローチできない、地元ならではのタブーを暴いたものもあるという。ここでは、東京ではお目にかかれない、そうした書物を発掘し、埋もれてしまった知のありかを紹介していこう。

藤木企業は、横浜スタジアムの土地の権利も持っているという。今後、カジノ構想でどんな動きがあるか注目だ。

 現在、日本にある出版社の8割が東京都に集中している。一方で、残りの2割は地方出版社から発行された刊行物になるが、そうした地方の感性によって作られたタブー破りの書物にはどんなものがあるのだろうか?

「タブーに迫った地方出版社本といえば、かもがわ出版(京都府)の『京に蠢く懲りない面々』【1】をはじめとする『懲りない面々』シリーズや、神奈川新聞社の『ミナトのせがれ』【2】などが印象に残っている。ともに、その地域のフィクサーの暗躍が赤裸々に描かれています」と語るのはある経済ジャーナリストだ。

『懲りない面々』シリーズは、同和問題に強いかもがわ出版が版元となり、関西のフリーライター集団が関西のウラ社会を徹底的に取材・執筆したものだ。

 例えば、「近畿放送を乗っ取った3人の黒幕」(『京に蠢く懲りない面々』所収)では、1980年代に起こった京都放送(KBS)の内紛に迫っている。親会社の京都新聞とともにKBSを牛耳っていたオーナー一族の白石家。しかし、白石英司社長(当時)が急逝し、遺産相続の過程で白石家の不動産投資の失敗による約70億円の簿外債務が発覚した。これを発端として起こった白石家の内部対立に、「京都の黒幕」といわれた山段芳春(京都信用金庫常任顧問)、「日本財界のフィクサー」許永中、画商でありながら、中曽根康弘元首相らと近く「政界最後のフィクサー」と呼ばれた福本邦雄(のちにKBS社長)らが暗躍し、絡み合う。その後KBSは「戦後最大の不正経理事件」イトマン事件の舞台ともなり、労働組合員らが給与未払いを理由に京都地方裁判所に会社更生法適用を申請して経営破綻、事実上倒産、結果、フィクサー人脈を排し、経営再建されることになった。

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2024.11.22 UP DATE

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