――昨今のプロレスブームに乗って、出版業界もまた、レスラーたちに熱いまなざしを送ってきた。結果、ここ数年、レスラーたちの“自己啓発的”自叙伝が続々と発売されている。その破天荒な生き方でも注目を集めてきた彼らから、学べるものとは?
(写真/江森康之)
――6月に発売された棚橋選手のフォトブックが「エロすぎてヤバイ!」とファンの間で話題です。女性目線を意識した露出が盛りだくさんで、これまでの、男くさいプロレスラーのグラビアのイメージを覆す、ものすごい本になっていますよね。その分、男性ファンを置き去りにしてしまったような気もしますが……。
棚橋弘至(以下、棚橋) いやいや、男性ファンを置き去りにしたつもりはないんですよ。今回は編集担当が女性の方で、彼女に引っ張られたといいますか。実は企画の段階では写真数も露出ももっと多くて、振り切った内容だったんです。これでも折衷案というか、控えめにはなっているんですけどね。
――これで控えめですか……。
棚橋 もちろん、思うところはあったんですよ。でもね、打ち合わせのときに、綾野剛さんの写真集を持ってきて、「こういうのを作りたいんです!」って言われて。そんなの、食いつきますよ(笑)。
――それで乗せられて「上半身裸エプロンで働く書店員」という、前衛的なシチュエーションの写真も生まれたんですね。
棚橋 あ、あれは僕のアイデアなんです。
――え! 自ら裸にエプロンを!?
棚橋 面白い本にしたかったんで、グラビアのページを減らす代わりに、前田慶次のコスプレページや、ファッションチェック、それと占いのページなんかも僕の要望として出したんです。
――よりレスラーらしからぬ方向の本に……。しかし、それが折衷案ということは、もっとハードな要求も?
棚橋 バスタオル1枚のカットとか、まさにですよね。これはプロレス誌などでは見せない姿ですから。中には、撮影後に“本当の意図”に気づいて「やられた!」と思ったカットもあります(苦笑)。