――昨今、その資源の豊富さに注目が集まる北朝鮮。そのビジネスへの関心から、IT環境にも目がいくようなった。“生死”をかけて技術を磨く祖国・北朝鮮のIT事情を在日韓国人ジャーナリストが追いかける。
『INTERVIEW』
今月から全5回に渡って、北朝鮮における情報技術(IT)事情をレポートしていくこととなった。あまり周知されていないかもしれないが、我々はすでに、その技術力を目の当たりにしているのだ。
まず今回取り上げたいのは、日本の外事警察と北朝鮮が、ITを駆使した諜報戦で対決したら、どっちが勝つか、である。
その答えは、すでに一度出ている。勝ったのは、北朝鮮だ。
大阪府警は2012年3月、日本に帰化した元在日朝鮮人男性を逮捕。この男性が北京や香港、東南アジアに渡航しながら、日本の軍事関連情報などを北朝鮮当局者に渡していたと発表した。
日本の警察にとっては久しぶりの、本格的な「スパイ摘発」である。府警は警察庁長官から表彰され、ホテルの宴会場で盛大な打ち上げパーティーを行った。
ところが、事件の内実は、お寒いものにすぎなかった。