――近年の朝ドラブームや邦画の好調により、若手女優に注目の集まる機会が増えた。今クールのドラマでも、『まれ』の土屋太鳳や『Dr.倫太郎』の高梨臨、『She』の松岡茉優ほか、光る演技を見せている存在が多数いる。スターダストやソニー・ミュージックアーティスツ、アミューズといった大手事務所を中心に、各プロダクションの女優育成・マネジメント術を研究してみたい。
■進出10年で飛ぶ鳥落とす!? 個性と旬の両立
SMA ソニー・ミュージックアーティスツ
住所:東京都渋谷区神宮前3-1-30/代表者:中山道彦/設立:1974年/従業員数:90人
現在最も若手女優に関して勢いのある事務所。ソニーミュージックのアーティストをマネジメントする音楽事務所だったが、05年に初めて行ったオーディションで倉科カナを見出し、女優の領域にも進出。そこからわずか10年で、朝ドラヒロインを立て続けに輩出する優良事務所となった。ただしその歴史の浅さから、今後どこまでこの勢いが続くかはまだ未知数。
■体育大学舞踏専攻の身体性を見よ!
土屋太鳳(20)
1995年2月3日、東京都生まれ。05年「スーパー・ヒロイン・オーディション ミス・フェニックス」(SMEと角川映画の合同主催)で審査員特別賞を受賞。このオーディションの受け皿として生まれたSMEの子会社ウエストサイドに当初は所属(10年吸収合併)。日本女子体育大学舞踏科在籍。「『まれ』での初登場シーンで自転車に乗っているんですが、指先まで演技しているのがわかる。テレビドラマは顔で演技をしがちな女優が多い中で、身体性が高くて、全身を撮ったときに映えますね」(成馬)。
■若手個性派代表格、その重みを逆手に
二階堂ふみ(20)
1994年9月21日、沖縄県生まれ。フリーペーパー「沖縄美少女図鑑」からスカウトされる。11年『劇場版 神聖かまってちゃん ロックンロールは鳴り止まないっ』、12年『ヒミズ』『悪の教典』で一躍ブレイク。「映画・舞台向きなのでしょうが、15年冬クールのドラマ『問題のあるレストラン』(フジ)では普段と違うタイプの役柄を演じて、伸びしろを見せた。普段の“らしさ”が制限されることで、逆に面白みが出ていました」(成馬)
■『告白』『桐島』世代を代表するヒロイン女優
橋本愛(19)
1996年1月12日、熊本県生まれ。08年「SMAニューカムHuA HuAオーディション」でデビュー。同年に「ホリプロタレントスカウトキャラバン」にもエントリーしており、最終候補まで残っていた。10年に映画『告白』で委員長役を好演、注目を浴びる。その後も『桐島、部活やめるってよ』(12年)『あまちゃん』(13年)と、若手役者を輩出した作品の“顔”となる。「以前は人形めいた美少女的な役柄ばかりという印象だったのが、『あまちゃん』をやったことでいろいろな表情を出せるようになって女優として覚醒しました」(成馬)
■B級映画から這い上がった空手ガール
武田梨奈(23)
1991年6月15日、神奈川県生まれ。08年に映画『ハイキック・ガール!』の主演オーディションに合格し、09年よりSMA所属。なかなかブレイクしなかったが、セゾンカードのCM(14年)にて得意の空手で瓦割りを披露し、注目を集める。15年冬クールでは、BSながらドラマ初主演(『ワカコ酒』)。「アクションができる役者がドラマ・映画共に圧倒的に不足している中で、そのポジションを担える貴重なタイプ。SMAの層の厚さを感じさせます」(成馬)
■王道美少女、数年後には朝ドラヒロイン?
黒島結菜(18)
1997年3月15日、沖縄県生まれ。11年、SMAがかかわる「ウィルコム沖縄イメージガールコンテスト」から芸能界入り。14年にドラマ『アオイホノオ』(テレ東)『ごめんね青春!』(TBS)などに出演している。「スポット的な出演が続いており、別の作品で彼女を観た制作者が自分も起用する、というのが続いているのだろう、と思わされます。2~3年後に朝ドラの主演があり得そう」(成馬)