──年齢不詳、職業不明、痛風持ち……老獪タカスが、自らの五臓六腑をすする気合で過激に告白&提言
創業半世紀以上、新橋の「ニューニコニコ」は、ソフィスティケートされたメニューで、酒飲みにはたまらない。壁に掛けられているのは、「一斗二升五合」の文字。その点も気に入っている。
周りの知人がゆるやかな自殺をしている。
我が社が浅草にあったときは、毎日のように夕方は田原町駅前にあるそば屋「甲州屋」に行き、そば焼酎を飲みながら、ジジイたちが話しているのを耳をすまして聞いていた。甲州屋にはサラリーマンは来ない。来るのは、金箔を押すやつ、下駄の鼻緒を作るやつ、おもちゃのリベットを作るやつ……そんな一人働きで、死ぬまで現役で小商いをやるやつばかり。それを“コツコツ”と人は言うが、違う。それしかできないのだ。
東日本大震災後、社屋を新橋に移した。どこで飲もうかと歩き回り、たどり着いたのは、ニュー新橋ビル地下1階の居酒屋「ニューニコニコ」。創業50数年、焼き場を守る女将さんと知り合い、かわいがってもらっている。
周囲は、ランチと夜の間に休憩を挟む店が多いが、ここは朝11時から夜11時まで12時間休まずに営業している。その小上がりで店内を見渡す。この店に来るのは、旧国鉄の操車場で働いていた労働者OB。徳光和夫さんともここで会ったことがある。男たちのさまざまな与太話、世間話を、新橋に来てから約4年間、じっと耳を傾けて聞いてきた。