多角化するも失敗幸福の科学、次の一手
出版社経営に政界進出と、さまざまな事業展開をする幸福の科学。学校教育にも熱心で、10年には栃木県に中高一貫校・幸福の科学学園を開校、続いて13年には滋賀県にも開校した。そして15年に、千葉県に大学を開校する計画があったが、文部科学省が「霊言」を大学教育の根底としていることを問題視し、認可を与えなかった。
強烈な保守的イデオロギーよりも、エル・カンターレはさらに上位に!?
近年、在日特権を許さない市民の会(在特会)などを筆頭に、『嫌韓流』(晋遊舎)などの”ヘイト本”に影響を受けたネット右翼(ネトウヨ)の行動が、社会的な問題となっている。在日コリアンが多い新大久保や大阪・鶴橋で「韓国人を叩き出せ!」と叫ぶデモなどがその象徴だ。
ネトウヨが社会に偏った差別……いわゆるヘイトスピーチをもたらしていることは事実だが、そんな彼らの購買を商機とみて、ヘイト本を出す出版社も増えてきた。特にここ数年、ネトウヨの本を積極的に出版しているのが、保守系の論調を強く打ち出す月刊誌「JAPANISM」【1】を発行する青林堂である。最近では、昨年9月に在特会元会長の桜井誠氏による新著『大嫌韓時代』が刊行されている。
伝説のマンガ誌没落にお家騒動で社員造反
「JAPANISM」のHP。ガロの文字も見える。(公式HPより)
青林堂といえば、もともとはヘイト本とは関係のないマンガ出版社だった。その歴史は古く、1962年に設立し、初代社長のマンガ編集者・長井勝一氏の下、マンガ好きの間では伝説となっている雑誌「ガロ」を創刊。『ゲゲゲの鬼太郎』の水木しげるや、『ニッポン昔話』の花輪和一などの日本の文化史に残る逸材を送り出し、雑誌のみならず出版社としても多くのファンを獲得してきた。ところが、96年に長井氏が死去した後、青林堂の経営は傾きだす。新社長と対立した編集部員が離反し、独立して「青林工藝舎」を設立している。青林堂はゴタゴタを経て、99年に債権者だった蟹江幹彦氏(現社長)の手に渡った。