音楽配信が最後の砦……迷走が止まらないソニーの無駄なプライド

いつの間にやら音楽発展途上国

海外では当然のように普及しているストリーミングサービスだが、日本ではいまだに定着しない。日本独自の音楽的文化がストリーミングを普及させないのか、はたまた音楽業界の陰謀なのか。KKBOXやUULAに続き、LINE MUSICといったサービスは続々と発表されているが、実際に音楽市場をにぎわせているイメージは皆無。

『ソニーをダメにした「普通」という病』(ゴマブックス株式会社)

 去る1月28日、米ソニーの子会社「ソニー・ネットワーク・エンタテインメント・インターナショナル」(以下、SNEI)が、スウェーデンで創業された音楽ストリーミングサービスの最右翼「スポティファイ」【1】と提携し、新たな音楽配信サービス「プレイステーション ミュージック」【2】(以下、PSM)をスタートさせると発表した。早ければ今春にも始動するといわれており、欧米をはじめ、香港や台湾といったアジア圏なども含め、世界41カ国でローンチされる。それに伴い、SNEI提供による音楽ストリーミングサービス「ミュージックアンリミテッド」(以下、アンリミテッド)は、3月下旬をもってサービス完全撤退となる。

 このニュースは日本の経済誌のみならず、音楽メディアでも大きく報じられ、「ついにソニーがスポティファイと提携したか!」と喜んだのも束の間、日本は”世界41カ国”の中に含まれていなかった。これに対し、ユーザーの落胆の声だけにとどまらず、音楽業界関係者からも「またしてもソニーが日本の音楽の可能性に足止めか」と肩を落とした。ソニー音楽事業部に勤務するスタッフの話。

「ソニーとスポティファイの提携がニュースで報道される以前に、さすがに今回は社内会議でPSMの話が出ました。詳細については話されませんでしたが、それもそのはず、日本はサービス対象外でしたから」

 スタッフが"さすがに今回は"と話した背景には、本誌14年5月号で報じた、LINE株式会社がソニー、エイベックスと提携し、サービスを開始させると発表した「LINE MUSIC」の一件がある。昨年10月の報道以降、約4カ月が経過した現在もサービスの詳細は公表されていないが、LINE MUSIC締結のアナウンスは、多くのソニー音楽事業部スタッフになされていなかったのだ。しかし、それとは裏腹に、アンリミテッドのサービス終了には、多くのスタッフが安堵のため息をついた。

「日本のソニーがアンリミテッドに力を注いだのも、そもそもデジタル配信の最大手であるiTunesに参入しなかったからです。後に参加することにはなりますが、高額な月額料、聴ける邦楽曲の少なさ、PC/スマホ共通の読み込みの遅さ、使いづらいユーザーインターフェース……アンリミテッドに対する社内スタッフの評判は散々なものでした」(前出・ソニー音楽事業部スタッフ)

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