ジャニーズと張り合うEXILE一族の最終兵器! 三代目J Soul Brothersが“嵐”になる日

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――2014年に大躍進を遂げた三代目J Soul Brothersにスポット当て、その人気のヒミツからスキャンダルの裏側、楽曲批評など他角度から分析してみます!

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(絵/えるたま)

三代目J Soul Brothers徹底研究【目次】

三代目J Soul BrothersはEXILE一族における"嵐"だ!
オジサンにも3分でわかる、三代目JSBの華麗なる履歴書
ジャパニーズEDMの臨界点超え!三代目JSBこの10曲を聞け!
TAKAHIROに代わる新スキャンダル王誕生か!? 登坂熱愛の裏事情
EXILEとはこうも違う!アイドル売りを推し進めるメディア対応の裏話

 2014年を「PERFECT YEAR」と銘打ち、新メンバーを5人増員して史上最多の19人で新章をスタートさせたEXILE。それに伴いソロ活動を本格化したATSUSHIに脱退疑惑が出るなど、今年も何かと世間を賑わせた。

 このEXILE一族の中で、今ダントツに熱いのが三代目 J Soul Brothers from EXILE TRIBE(以下、三代目 JSB)だ。彼らは、今年1月にリリースしたアルバム「THE BEST/BLUE IMPACT」がオリコンの年間アルバムランキング6位につける健闘を見せた。また、6月に発売したシングル「R.Y.U.S.E.I.」でレコード大賞にノミネートされ、3度目の紅白歌合戦出場を果たすなど、14年に大躍進を果たしている。

「R.Y.U.S.E.I.」は、グーグルが12月10日に発表した「14年にYouTubeへアップロードされた動画の国内再生回数ランキング」でも8位をマーク。その数は12月22日現在、約1700万回を超える。1~7位のうち5位までが「アナと雪の女王」関連、6、7位がSEKAI NO OWARIの楽曲で占められていることを考えると、いかに三代目JSBが勢いづいているかわかるだろう。

 三代目 JSBは、その名の「from EXILE TRIBE」が示す通り、EXILEの弟分グループである。しかし、彼らはEXILEが元来持つ“色黒マッチョの悪そうなヤツら”という世のイメージからは少しズレた存在だ。EXILEの直系にありながら、むしろ“隣に住む気のいい兄ちゃんたち”といった風情なのである。そして、彼らのこうした“隣人感”は、あるグループを想起させる――。今、お茶の間でもっとも愛されているグループ、嵐だ。

 三代目 JSBと嵐。一見、正反対に映るこの2グループは、いったいどこが似ているのだろうか? まずはそこから話を始めよう。

嵐の盤石な人気が裏付ける「仲良しは金になる」

 ご存じの通り、嵐は現在"国民の息子""国民の孫"として幅広い世代に親しまれている日本で一番支持を集める男性アイドルだ。出演した2014年のCM本数は23本(ソロでの出演も含む)。シングルを出せばCD不況の世においても初週で50万枚以上を売り上げる。コンサートチケットは国内アーティストでもっとも取れにくいとされ、オークションではプラチナ化。正真正銘、芸能界の頂点で輝くスターである。

 彼らの最大の魅力は、何といっても5人が醸し出すワチャワチャした仲の良さ。パフォーマンスや楽曲の良さよりも「仲良し」という曖昧な価値基準を揶揄する向きもいるが、「仲良し」は金になるのである。実際、放送中のキリンビール「一番搾り『一番搾り製法こだわり体験キット』絶対もらえるキャンペーン」のCMで流れるのは、コタツに入った嵐のメンバー全員が談笑しながらテイスティングをする様子。つまり彼らの仲の良さは、それだけで販促になるほどの価値を持っているのだ。

 まさにメンバー全員が兄弟であるかのような"ニコイチ"ならぬ"5コイチ"の仲の良さが、彼らを国民にとっての「最良の隣人」たらしめていると主張するのは、現代思想学者の関修氏だ。関氏は、嵐はなぜ時代を代表するアイドルであるかを読み解いた著書『隣の嵐くん』で、近年のアイドルについてこう分析する。

「現在のアイドルに関しては嵐はもとより、AKBを見ても以前のスター=カリスマとは異なった趣があります。これがアイドルの『隣人化』に他なりません。SMAPを発端とする、カリスマ信仰から民主主義的なスターシステムへの移行。その象徴ともいえるイヴェントがAKBの『総選挙』ではないでしょうか」

 このように嵐の"5コイチ"感を支えるのは、その内部に確固たるヒエラルキーが存在しないということだろう。SMAPの木村拓哉、あるいは中居正広のような絶対的なエースがいるグループと異なりそれぞれが報道やバラエティー、芝居、アートなどの分野などで活躍しながらも、突出したメンバー、つまり"カリスマ"はおらず、全員がフラットな関係にあるように見えるのだ。

EXILEが踏襲する「仲良し商法」としての三代目JSB

 ジャニーズのグループがメンバー同士の仲睦まじさを全面的に表に出すのは、嵐に限った話ではない。ジャニーズでは、上下関係を見せぬように先輩を「くん」付けで呼んだり、メンバー間に和気あいあいとしたファミリー感を演出したりする“仲良し商法”は、むしろ定石だ。その中でも、メンバーの脱退を繰り返したNEWSやKAT-TUN、グループ内に出来上がった格差を逆手に取って売り出すKis-My-Ft2などに比べて、同じメンバーで15年間活動を続けた嵐のその強固たる"仲良し商法"は際立つものがある。

 そんな"仲良し商法"の権化ともいえる嵐と共通の魅力を持つのが、三代目JSBなのだ。歌やダンスのクオリティーを前提としながらも、嵐が"5コイチ"ならば、三代目JSBはそのカウンターとなりうる"7コイチ"の魅力でファンを引き付けている。ジャニーズの専売特許であった"仲良し商法"メソッドをEXILE一族の中で実現していく三代目JSB。彼らはのちに、エポックメイキングな存在となることだろう。

"色黒マッチョの悪そうなヤツら"というイメージが示すように、EXILEを「個々の顔が見えない集団」ととらえる人は多いのではないだろうか。それもそのはず、EXILEは増員を繰り返すうちに、次第に"個"の見えにくいグループになってしまったのだ。

 対して、三代目 JSBはメンバーの個性がわかりやすいグループである。たとえば、メンバーのNAOTOはコミカルさを売りに「バイキング」(フジテレビ系)でEXILE・TAKAHIROとともに司会を務めているし、岩田剛典がドラマ「ディア・シスター」(フジテレビ系)で石原さとみの相手役としてソフトなかわいいイケメン役を演じたかと思えば、登坂広臣は映画「ホットロード」でステレオタイプな不良役に抜擢され、能年玲奈とW主演を果たした。こうして、それぞれが異なるフィールドで異なる魅力を発揮しているのである。

 また、岩田は「VOGUE」(コンデナスト・ジャパン)14年12月号のインタビュー内で、10年後の自分たちの姿についてこのように語っている。

「10年後はそれぞれが国民的スーパースターになって、確固たる個性を持って、コメンテーターもできれば司会もできる人がいて、俳優で光る人がいたり、ファッショニスタがいたり、広がりがあると思うんですよ」

 岩田が描く未来像は、そのまま現在の嵐の姿と重なってはいないだろうか。三代目JSBは嵐から、その座を奪えるのか――。次からは、そのポテンシャルとなるメンバーの個性の源やグループとしてのパワー、そして「最良の隣人」を思わせる仲睦まじさが、どのようにして生まれたのかを探っていこう。

圧接工、慶応生、USJダンサー…多様なバッググラウンドが起こす化学反応

 まず、三代目JSBが所属する「EXILE TRIBE」の解説から始めよう。EXILE TRIBEとは、いわばEXILEの下部組織で、三代目JSBをはじめとした弟分グループの総称。三代目JSBは、EXILE TRIBEの中で中間管理職的な位置づけである。とはいえ、彼らは別グループとは少し異なる雰囲気を持っている。それは、三代目JSBの来歴から生じたものだ。

 三代目JSBの後輩であるGENERATIONS from EXILE TRIBE(2011年結成/以下、GENERATIONS)やTHE RAMPAGE from EXILE TRIBE(2014年結成/THE RAMPAGE)は、ほぼEXILEの所属する株式会社LHDが展開するスクールEXPGで10代のうちから教育を受けたメンバーで構成されている。EXILEを種の起源とするならば、GENERATIONS やTHE RAMPAGEは、最初からその血を継承すべく育てられた者たちなのだ。

 一方で、三代目JSBのメンバー構成は特殊だ。一時的に劇団EXILEやEXPGに籍を置いていた者がいるものの、彼らはさまざまなフィールドからやってきた人材の集合体である。また、彼らのほとんどが外部で一度、社会人経験を積んでいるのも特徴だろう。

 まず、リーダーであるNAOTO(31歳)と小林直己(30歳)は、二代目J Soul Brothers(現在は全員がEXILEメンバー/以下、二代目JSB)を経てEXILEに加入。現在は2つのグループを兼任している。もともと2人は東京のクラブシーンで活躍していた人物で、NAOTOは浜崎あゆみや後藤真希のバックでプロダンサーとしてステージを踏み、小林直己はEXPGのインストラクターをしていた。

 さらに、ELLY(27歳)と岩田剛典(25歳)は加入前、すでにクラブシーンでNAOTOや小林直己と出会っており、引き抜きに近い形で加入したメンバーだ。ELLYは黒木メイサやCrystal Kay 、久保田利伸らアーティストのバックダンサーなどを経て、劇団EXILEに加入後、三代目JSBメンバーへ。岩田剛典は三代目JSB結成時に唯一の現役大学生で、慶応大学卒業後は大手メーカー企業からの内定も決まっていたが、小林直己の強い勧めで三代目JSBのメンバー選抜オーディションを受けたという経緯がある。

 異色なのは、大阪でダンスの専門学校を卒業後、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンのショーダンサー、EXILEのバックダンサーなどを経てEXPG大阪校に入学した山下健二郎(29歳)。山下は、その後EXPGでインストラクターを務め、三代目JSBへと加入した。

 他方、ボーカルの今市隆二(28歳)と登坂広臣(27歳)は、一般から選ばれたメンバーだ。2人は、2010年にLDHが開催した「VOCAL BATTLE AUDITION 2~夢を持った若者達へ~」に合格。それ以前は、今市は圧接工の職人としてマジメに働いており、登坂は美容師から転職後、フリーターとしてアパレル店に勤務していた。

 こうして集められたメンバーたちは、2010年11月に「Best Friend’s Girl」でデビューすることとなる。バックグラウンドも違えば、全員が全員EXILEの直下で訓練されてきたわけでもない。ジャニーズのように幼年期にJr.として共に活動した後にデビューを飾るケースとはまったく違う、それぞれが大人になってから出会い結成されたグループなのだ。このように違う背景を持った彼らだが、その後急速に”7コイチ”感を強めていく。そこには彼ら自らの成功のためだけでなく、ある責務も手伝ってチームとしての絆を育てていかねばならなかった事情があるのだ。

LDHの社運がかかった三代目JSBデビューの背景

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