――数々の芸能スクープをモノにしてきた芸能評論家・二田一比古が、芸能ゴシップの“今昔物語”を語り尽くす!
永久保存版 高倉健 サンデー毎日増刊 12/26号(毎日新聞社)
芸能メディアで報じられるものには大きく分けて二つある。メディアが自らの取材で得た情報に基づいて記事にするものと、芸能界から発せられる情報による記事。
前者のなかにはスクープも入る。後者は基本的に「新作のドラマや映画」の発表ものに、プライベートでは「結婚」「離婚」さらに「病気」「死去」というものがある。最近では「交際宣言」や「破局」の発表をご丁寧に発表することもあるが、芸能関係者によれば、「交際は他の人と付き合わせないように女性サイドがプレッシャーをかける場合にすることが。破局発表の裏には、すでに別の恋人の存在があって、先に破局を発表しないと二股疑惑をかけられることへの恐れがある」という。
原則、発表ものはテレビ、新聞が日々の情報として報じるのが大半で、提供された情報のままに報じる。問題は一週間に一回発行の週刊誌。何日も遅れて同じ発表ものを記事にしたところで「マヌケ」なものになる。基本はやらない。結果、すでに報じられているニュースの裏を探る。
「結婚」―。すでに交際を報じられている者同士と突然の結婚は違う。最近だと前者が向井理と国仲涼子。熱愛報道があったし、順調に「愛を育んでいた」ということで、そう面白味はない。中島美嘉とバレーボールの清水邦広のケースは後者だが、週刊誌にとって清水にさほど芸能ニュースとしての価値はなし。
やはり、結婚の裏にあるスキャンダルに期待する。よくあるのがフラれた別の女性の告白。その好例が昨年九月に九年間の交際を経て一般女性と結婚した京大出身の芸人コンビ“ロザン”の宇治原史規。結婚直後、単なる“セフレ”だった女性に下半身事情まで暴露されてしまった、「脇の甘い芸人」の典型だった。
こんなこともあった。ベテラン役者の中村嘉葎雄が結婚発表したときのこと。初婚であり相手も一般女性。特に問題もなかったが、ひょんなことから「中村は初婚ではなかった。以前に三か月ほどの結婚歴があった」ことがわかり大騒ぎになったことがあった。これは「あまりスキャンダルのない人は過去を紐解きようがないために起こる」珍現象である。
またこんなこともある。萩原健一といしだあゆみの結婚。メディアは勝手に『ずっと一緒に住んでいるから結婚』と報じていたのだが、実は入籍しておらず、今で言う「事実婚」状態だったわけだが、本人に確認しなかったから起きたことである。「当時の萩原はちょっとプライベートな質問をしただけで烈火のごとく怒る人。怖くて誰も聞けなかった」(ベテラン芸能記者)
逆に離婚はドラマが多い。離婚は「価値観の違い」「すれ違い」といった理由を発表しているケースが多く、円満離婚を強調してくる。「円満なら離婚しなくてもいいだろう」と嫌みのひとつもいいたくなるが、「離婚はいかにダメージを少なくするかがポイント」というのが芸能人の本音。しかし「離婚の裏に女あり」と言われたもので、離婚報道を受けると芸能記者は妙に張りきったものだった。まさに「人の不幸は蜜の味」。
同じ不幸でも「死去」は難しい。「死人に鞭打つ行為」と非難されるが、時間がたつと別。そこで注目されてくるのが遺産問題。今、マスコミが密かに注目しているのが先日亡くなった高倉健さんの遺産問題。江利チエミさんと離婚後、長く独身を貫いており、子どもはいない。出身地の福岡に妹がいるものの、晩年はほとんど付き合いがない。その妹の息子が東京に住んでいて、多少の付き合いもある程度。
映画関係者がいう。
「高倉さんの映画や歌など権利関係は高倉の事務所が管理することになるだろうが、個人の財産は別。不動産は世田谷の豪邸と赤坂の高層マンションぐらいと聞きますが、預貯金はかなりあるでしょう。それを誰が相続するかです。普通に考えれば妹と甥になりますが、そうすんなりいくとは思えない。覚悟の死ですから、健さんはきちんと遺言状を書いていると言われています。当然、遺産に関しての記述もあると思われます。噂のレベルですが、健さんが親しかった女優の娘さんを可愛がっていて、その方との間で養子縁組しているという話もあります」
別の芸能関係者はこう話す。
「健さんが心を許し、なんでも話していた人に都内で高級中華店を経営するオーナーがいます。中国映画進出の橋渡しをしたりして、店には“健さんルーム”と呼ばれる個室まであるほど親しい。もちろん、密葬にも立ち会っていますし、健さんのことならなんでも知っているし一番の相談相手だったといわれていますし、今後の遺産相続も彼に委ねられているという話まであります」
遺産相続を巡り、厚いベールに包まれていた私生活をはがすことができるマスコミが現れるか、注目される。
ふただ・かずひこ
芸能ジャーナリスト。テレビなどでコメンテーターとして活躍するかたわら、安室奈美恵の母親が娘・奈美恵の生い立ちを綴った「約束」(扶桑社刊)、赤塚不二夫氏の単行本の出版プロデュースなども手がける。青山学院大学法学部卒業後、男性週刊誌を経て、女性誌「微笑」(祥伝社/廃刊)、写真誌「Emma」(文藝春秋/廃刊)の専属スタッフを経て、フリーとして独立。週刊誌やスポーツ新聞などで幅広く活躍する。現在は『おはようコールABC』(朝日放送)、『今日感テレビ』(RKB毎日放送)などにコメンテーターとして出演。