第一次世界大戦の様子が写されたステレオカード。2つのカットを専用のヴューワーで覗くことで立体視することができた。数々の新兵器が紹介され人気を博した。(キーストーン・ビュー・カンパニー 1914-18年)
塹壕での戦闘シーンのほか、負傷者や死体が写されたステレオカードも数多く作られた。(キーストーン・ビュー・カンパニー 1914-18年)
1914年6月28日、オーストリア=ハンガリー帝国の皇太子フランツ・フェルディナンド夫妻が暗殺されたサラエボ事件。第一次世界大戦はその事件を契機に勃発した。(写真上/Mary Evans Picture Library/アフロ、写真下/Ulstein Bild/アフロ)
今年は第一次世界大戦(1914〜18年)勃発からちょうど100年目にあたる。人類史上初の世界大戦となったこの戦争では、毒ガスや潜水艦、飛行船、飛行機、戦車など数々の新兵器が使用され、それまでの局地的な戦争とは比べものにならないほどの犠牲者を出したことはよく知られているだろう。
技術的な発達を遂げたのは兵器だけでなく、戦争を記録するカメラも同様であった。19世紀半ばのクリミア戦争(1853〜56年)や南北戦争(1861〜65年)では、長い露光時間を必要とする湿板写真が使われていたため、動きの激しい戦闘シーンを撮影することができなかった。湿板写真とは硝子板を薬品で濡らし感光性を与えて撮影し、その場で現像を行う技法だが、機動性に乏しく、南北戦争に従軍したマシュー・ブレイディは現像用の暗室馬車をしつらえねばならなかったほどであった。第一次世界大戦の頃になると、イーストマン・コダック社から「兵士のカメラ」という文句で売り出された蛇腹式小型カメラ「ヴェスト・ポケット・オートグラフィック・コダック」(1915年発売)やロール・フィルムの普及によって機動性や感光性が向上し、さまざまなシーンをカメラに収めることができるようになった。