PCユーザーはすでにマイノリティ!?スマホネイティブ世代のドライなインターネット観

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情報通信端末の世帯保有率の推移。↑画像をクリックすると拡大します。

 犯罪自慢、不適切な発言、パクリ、企業の不正など、気がついてみたらインターネットは常に炎上している。人が多く集まれば、それだけトラブルの数が増えるのも当然とはいえ、こうも休む間もなく炎上が起きるのはどうしたことか。もともとインターネットは、一般の人々が自由に情報発信できることによって、世界を変えるツールとなることが期待されていた。確かに、世界は変わり、新たなサービス、新たなビジネスが世界を席巻し、新たな時代が訪れている。そして、スマホの登場で、さらなる変化の兆しが見られる。だが、私たち自身は、どれほど変わったのだろうか?そして、どうなるのだろうか?

クロサカ 今回のゲスト、遠山緑生さんは、大学におけるIT教育の専門家で、実は、僕の大学時代の同級生。まだインターネットが普及する前から、いわゆる「ウェブ日記【1】」を始めたひとりでもあります。

遠山 今は授業でコンピュータの活用を教えています。僕らが通っていた慶應義塾大学の湘南藤沢キャンパス(以下、SFC)は村井純教授【2】がいたこともあって、学生なら自由にネットが使えたんですよね。それで、勝手にウェブサーバーを作って、HTMLの書き方マニュアルを公開した。そのついでに日記も始めた。

クロサカ 1995年前後のウェブ黎明期の牧歌的な話だよね。その頃、遠山さんはウェブを使いこなすスターだったんです。第3回に登場した江渡さん【3】は僕らの2つ先輩で、まさにスーパースターだったんだけど、遠山はその後継者のひとりみたいな感じだった。

遠山 その頃のことを今の学生に説明するときは、めんどくさいので「日本初のブロガーのひとり」って言っています。ウェブ日記はブログとは違ったけど、今の学生には、そうとでも言わないと伝わらないので(笑)。

クロサカ もう20年もたったからね。今の若者には、歴史の出来事みたいな感覚なのかも。そもそも、ネットで個人が日記を書く行為のインパクトは、理解できないことなんだろうね。

遠山 今では、個人がウェブ上で何か活動するというのは、当たり前のこと。だけど20年前は、まだネット自体が技術的に未完成の部分もあって、研究機関や研究者のものだった。だから、ネット上の個人的な活動といっても、あくまでも「組織の中の人間」としてだった。

クロサカ そんな時代に、個人が私的な日記をウェブで公開するというのは画期的なことだったんです。実際に書いていたのは「疲れた」とか「だりー」とか、ツイッターと大差ない(笑)。でも、最近のツイッターは、だいぶ雰囲気が変わってきちゃった。

遠山 変わったのはネットも同じじゃないかな。

クロサカ 同調圧力というか、集団的なものになってきているのは確かだね。

遠山 いわば「教室化」だね。学校の教室みたいに、ほとんど共通性がないまま同じ空間に集められたようなものの嫌さがあるね。それだけネットが普及したということなんだと思う。

クロサカ うーん、その分析に7割くらいは同意するんだけど、でもネットやSNSを使っている人が、そもそも本当にそんなにいるのかな。

遠山 実際に使っているだけでなく、認知というレベルでなら相当のものだと思う。

クロサカ なるほど。実際の参加数はあまり変わらないのに、ワイドショーなどで「ネットの闇」みたいに取り上げられて、そういうイメージで見られてしまうようになるということか。

遠山 そういうのは、遅れてやってきた声の大きな人によって決定されるところがあるから。

クロサカ ネットのなかでも、新しいサービスなどにアーリーアダプターが飛びついて、徐々に人が増えていくことで雰囲気が変わっていく。そして、また新しいサービスが出てくると、そこに移っていくということの繰り返し。

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