【LINEvs.KDDI】スマホ市場で勝つのはどっちだ!? ”貧しさ”増すスマホの打開策

――LINE株式会社は、LINEを中心にした複合的なサービスを展開し、スマホの一大プラットフォームになろうとしている。一方、ウェブサイトやアプリを買収し、それらをつなげるポータル構想を発表したのがKDDIだ。両社の真反対の戦略は、果たしてどちらに軍配があがるのか?

(絵/鬼頭祈)

■LINEを土台に大きな実がつくか?
LINE[プラットフォーム戦略]
■MALL
13年12月開始。スマホ向けECサービスの本命とも呼ばれ、いわゆるフリマアプリからスタートして、現在は法人を取り込んだり、ユーザーグループでの共同購入などが可能になっている。

■MUSIC
14年年内開始予定。ソニー・ミュージック、エイベックス・デジタルと共に新会社を立ち上げ、そこでサブスクリプション型のストリーミング配信を行うこととなる。

■Pay
14年冬頃開始予定。三井住友銀行、みずほ銀行と提携。クレジットカード決済がLINE内のサービスのほか実店舗でも可能になるほか、「友人に送金」が可能なため、LINE上で割り勘が実行できるのがウリのひとつ。

■MANGA
13年4月開始。講談社や集英社、白泉社といったコミック大手を中心に、人気タイトル3万冊から配信をスタート。LINEを通じて友人にマンガを薦める機能もついている。

■NEWS
13年7月開始(アプリ)。アプリのほか、通常のLINE内に公式アカウントを設け、友達登録すると日に数回メッセンジャー形式でニュースのダイジェストが送られてくる。

■GAME
12年7月開始。「LINE ポコパン」や「LINE POP」「LINE バブル」、「ツムツム」などヒット作をコンスタントに生んでいる。最近では本格3Dアクション「LINE レヴァナントゲート」を投入するなど、コアゲーマーの獲得も狙い始めている。

LINE株式会社
[設立]00年(「ハンゲームジャパン」として日本進出)
[代表]森川亮[営業利益]73億円(13年12月期)
韓国のウェブサービス企業「ネイバー」の100%子会社「ハンゲームジャパン」として、00年に日本に設立。その後03年にNHN Japanに商号変更し、13年に再び商号変更、事業分割を行った。

(絵/鬼頭祈)

■隣の房もおいしいから食べてみて
KDDI[ポータルサービス「Syn.」]
■natalie
14年8月、KDDIの連結子会社化。サービス開始は07年。言わずと知れた音楽・マンガ中心のニュースサイトであり、ニュースサイト黎明期から存在感を発揮してきた同社の買収はユーザーレベルでも驚きを与えた。

■gamegift
株式会社AppBroadCast運営。スマホゲームのアイテムが無料でもらえるゲームメディア。KDDIとは13年の開始直後より業務提携、「auスマートパス」で記事を配信している。

■@cosme
株式会社アイスタイル運営。コスメ・美容の情報サイトとして国内最大規模を誇る。こちらもKDDIと特に資本関係にあるわけではない。

■nanapi
14年10月、KDDIの連結子会社化。サービス開始は09年。ライフレシピと呼ばれる生活におけるノウハウをCGMで集めるサービス。ナタリーと共に、「Syn.」のみならず配信サービス「auスマートパス」におけるコンテンツ拡充にも一役買うことになるだろう。

■iQON
14年10月、KDDIより10億円超の出資を受ける。運営会社はVASILY。100万人を超える登録者を持つ、ファッションコーディネートアプリ。手持ちの洋服だけでなく、ECサイトに掲載されたアイテムを使ってコーディネートが作成できる。

■NAVITIME
株式会社ナビタイムジャパン運営。ご存じ、ケータイ向け経路探索サービスで、KDDIと特に資本関係はないがau「EZナビウォーク」を手がけるなど関係は深い。

■JORTE
株式会社ジョルテ運営。スマホとPCで連動できるカレンダー&システム手帳アプリで、2300万DLを達成している。今年6月、KDDIを引受先として第三者割当増資を実施。

KDDI
[設立]00年(KDD、IDO、DDIの3社が合併)[代表]田中孝司[営業利益]3180億円(14年3月期)
現在の代表である田中氏はガジェットオタクを公言する明るいキャラクターで、最近のKDDIのフットワークの軽さは、彼の存在によるところも大きいと見られている。


メッセンジャーアプリのLINEを開くと関連アプリが紹介される(左)。Syn.はさりげない設置なので、注意しないと存在に気づかないかも?(右)

 今年4月に発表された消費動向調査で、スマートフォンの世帯普及率が5割を超えた。本特集でも各所で触れているように、それに伴ってIT・通信といった情報通信関連サービスはどんどん様相を変えている。

 このスマホ市場の発展で、最も存在感を増しているのがLINE株式会社だ。同じく4月に総務省が発表した利用状況調査では、20代の80%がインスタントメッセンジャーアプリ「LINE」を利用。サービス開始からわずか3年で、世界で登録者数5億6000万人(月間アクティブユーザーは約1億7000万人)を突破したこのサービスは、完全にキャリアメールに取って代わりつつある。

 LINEの凄みは、このインスタントメッセンジャーとしての普及にとどまらないところだ。LINE社は、12年からゲームやカメラアプリの配信を始め、13年7月にはニュースアプリ「LINE NEWS」をリリース。公式アカウントも合わせて、1年で1200万人を超える利用者を獲得した。その後もECサービス「LINE MALL」などが次々と投入され、今年10月のカンファレンスでは決済サービス「LINE Pay」、タクシー連絡サービス「LINE TAXI」、ソニー・ミュージック、エイベックスと手を組んだ「LINE MUSIC」(詳細はP38参照)といった新サービスが発表され、いずれも年内開始予定となっている。

 圧倒的なユーザー数を武器に、「LINE」の名のもとに新たなスマホサービスを展開していく――これはプラットフォーム戦略にほかならない。実際LINE社は12年7月に「プラットフォーム化」宣言を行い、そこから前述の各種関連サービスがスタートした。闇雲に手を広げているわけではなさそうなこれらの動きは、どのようにとらえるべきなのだろうか? 各種ビジネス系ニュースサイト等でスマホビジネスを取材・執筆するモバイルライター・佐野正弘氏は、こう説明する。

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