アメリカの日常に侵入してきた戦争の暴力とは?

『ザ・ゲスト』

長男を戦争で失ったアメリカの片田舎に住むピーターソン一家の元に、長男の戦友を語る男が現れた。容姿端麗、頭脳明晰、人柄も良い……そんな完璧な男・デイヴィッドは一家の周囲で起こるトラブルを解決し、家族の信頼を得て、双方の距離は縮まっていった。だが次第に彼の裏の顔が明らかになり、ついに街は特殊部隊をも巻き込む“戦場”へと化していく。
監督:アダム・ウィンガード/主演:ダン・スティーヴンスほか/11月8日より全国公開。







 ピーターソン一家はアメリカの田舎町に住む、平凡で愛国的な家族だ。彼らの長男は軍に志願し、アフガニスタンで戦死した。母は、その悲しみから立ち直れない。そこに、デイヴィッド(ダン・スティーヴンス)という青年が訪ねてくる。彼は長男の戦友だと言い、母親と悲しみを分かち合う。

 父親も、自分より年下の社員に出世で追い抜かれて打ちひしがれており、いまどき珍しく礼儀正しい青年デイヴィッドに息子の面影を見る。いじめられっ子のピーターソン家の子どもはいじめっ子らを一瞬で叩きのめしたデイヴィッドを兄貴と慕う。そして長女はデイヴィッドの甘い美貌と6つに割れた腹筋にうっとり。

 しかし観客だけは、デイヴィッドがふとした瞬間に見せる狂気の眼差しに気づく。彼は次第に、殺人マシーンとしての正体を明かしていく……。

 映画『ザ・ゲスト』は、アメリカの日常に侵入する戦場の暴力をホラーとして描いている。これは決して絵空事ではない。

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