各社それぞれの経営努力はどう転ぶのか?パターン別・アニメスタジオ生存戦略

――生存戦略には、おおまかにいってこの5パターンがある。それぞれに該当する老舗から新興まで、注目作を生んでいるスタジオをご紹介。

【資金力はいまだ絶大!】
―テレビ局傘下系―
衰えたとはいえ、存在感も資本力も絶大なテレビ局。その力を借りたいスタジオと、コンテンツ力の恩恵を受けたい局側、両者の持ちつ持たれつな関係は、しばらく拡大傾向になりそうだ。

■日テレとの蜜月はいつまで続く!?
スタジオジブリ
設立年/1985年 所在地/東京都小金井市 代表作/『天空の城ラピュタ』ほか
ジブリと日本テレビの強いつながりは、ジブリアニメが同局でしか放映されないことからも明らか。その理由のひとつに、日テレ代表取締役会長の故・氏家齊一郎との密接な関係がある。高畑勲監督作品を愛した氏家氏は、公私ともにジブリをサポートしてきた。しかし、氏家氏もこの世を去り、ジブリ自体の形態も変わることになって、今後両社の関係がどう変化していくか注目である。なお、日テレはほかにもマッドハウス、タツノコプロなどアニメ制作会社を続々と傘下に収めている。

■『ジョジョ』アニメでフジの子会社に
デイヴィッドプロダクション
設立年/2007年 所在地/東京都田無市 代表作/『ジョジョの奇妙な冒険』ほか
原作ファンも納得のクオリティでの『ジョジョの奇妙な冒険』
映像化でにわかに注目を集める新興スタジオの同社は、今年8月1日付でフジテレビの子会社となった。同局は13年1月よりアニメ開発部を設置し、関連事業を推進中。テレビ局のスタジオ買収というと、先述の日テレの例のほか、テレ朝による『ドラえもん』『クレヨンしんちゃん』のシンエイ動画完全子会社化など、ある程度のブランド力、歴史あるコンテンツを持つスタジオの例が多いが、新興スタジオを買収するこのケースは珍しい。


【台が売れればそれでOK!】
―パチンコ資本系―
今やパチンコ・パチスロに欠かせないアニメ演出。ならばスタジオに出資して、本編も一緒に企画・制作すれば一粒で二度おいしい、ということでパチンコマネーを投じた作品が増加中。

■「マクロス」とパチンコが生命線!?
サテライト
設立年/1995年 所在地/東京都杉並区 代表作/『マクロスF』ほか
CGアニメーション制作を請け負う北海道のソフト開発会社の一部門から独立、06年にパチンコメーカー・SANKYOの系列に参加。『CRフィーバー創聖のアクエリオン』の演出映像制作を担当。主題歌共々大ヒットを記録したことを覚えている読者も多いだろう。以降もSANKYOは、サテライト制作のアニメ『マクロスF』『モーレツ宇宙海賊』を遊技機化。作家性の強い作品が多く、おせじにもヒット作が多いとは言いがたいが、それでもスタイルを貫けるのはパチンコマネーの強さといったところか。

■子ども向けと大人向けの絶妙なバランス
トムス・エンタテインメント
設立年/1964年 所在地/東京都中野区 代表作/『ルパン三世』ほか
東京ムービー(64〜93年)を前身に持ち、『それいけ! アンパンマン』『名探偵コナン』など、子ども向けアニメを多く手がける一方、『ルパン三世』をはじめとするモンキー・パンチ作品や『弱虫ペダル』のような深夜アニメも手がける老舗。90年代初頭よりセガグループに入っていたことから、パチンコメーカー・サミーによるセガ買収に伴ってセガサミーホールディングスの子会社となった。ただし、トムス制作アニメのパチンコ・スロットはすべて他社より発売されている。

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