ヲタは号泣必至?中野サンプラザまで
閉鎖は21年前後といわれているが、ヲタの聖地と呼ばれる中野サンプラザも閉鎖が予定されている(再開の予定も立っている)。「中規模ホールで、交通の利便性も高い場所にある。厚生年金会館、日本青年館が閉鎖してしまったら、アイドルたちはどこでライブをやればいいの!」と、サンプラザ閉鎖を嘆き悲しむヲタの声も方々で飛び交っている。
1年間のツアーグッズの売り上げが約150億円といわれている嵐。まだ一般的に知られていないアーティストも、グッズ収益に頼るところは大きい。
停滞を続ける音楽業界に、さらなる試練がやってきそうだ。ミリオンセラー連発の90年代と比較して、CDのリリースや、配信による楽曲の売り上げに伸び悩む昨今の音楽業界において、いまや音楽ソフトと同等、もしくはそれ以上に収益をあげているのがライブだ。ACPC(一般社団法人コンサートプロモーターズ協会)のデータによると、03年度の総公演数(音楽)は約1万3000本、総動員数は約1800万人、総売上額は約942億円。それが13年度になると総公演数が約2万2000本、総動員数に至っては約4000万人に及び、この10年で総売上額は約2318億円と激増している。一方、RIAJ(一般社団法人日本レコード協会)のデータによれば、03年度の音楽ソフトの売り上げは約4561億円、13年度が2704億円――。以前は新曲やニューアルバムのプロモーションとしても機能していたライブだが、現在はライブから収益を上げるスタイルが確立されており、アーティストにとっての生命線となっている。
そして今、そのライブの会場となる首都圏のホールやアリーナが、2015~16年の間に同時多発的に閉鎖、もしくは改修工事に入る問題が物議を醸している。建物自体の老朽化に加え、20年に開催される東京オリンピックに対応するための補強工事が主立った原因だ。15〜16年度に3~4カ月間、改修のため閉鎖するさいたまスーパーアリーナを筆頭に、渋谷公会堂(15年10月以降閉鎖)、日本青年館(2015年3月末閉鎖)、青山劇場(2015年3月末閉鎖)などが閉鎖される(前2会場は改修後、再開予定)。さらに時期は未定ながらも、横浜アリーナ、東京国際フォーラム、国立代々木競技場体育館も改修工事が必要とされている。音楽業界では"2016年問題"と呼称されており、この影響をレコード会社洋楽担当者はこう語る。
『閉鎖・改修問題』
2016年前後に、アリーナクラスから小規模・中規模クラスのライブスペースが一気に閉鎖、または改修工事に入ることが問題視されている。
「各アリーナの改修工事時期がかぶることはないので、16年にどこもかしこもライブができないというわけではありません。問題は小規模・中規模クラスのライブハウスの閉鎖です。ライブで収益を上げたい新人・中堅アーティストにとって、それらの会場が閉鎖するのは痛手。レコード会社のスタッフはこれから場所取りを念頭に置かねばなりません。また、アリーナクラスの問題としては、海外アーティストのワールドツアーにおいて、『すでにその日程は他アーティストに会場が押さえられている』ともなれば、日本をツアー対象地から除外せざるを得ない可能性も。今年の来日公演は中止となりましたが、ポール・マッカートニーをはじめ、レディー・ガガやアヴリル・ラヴィーンなど大きな収益を見込めるアーティストが来日しないともなれば、音楽業界のさらなる逆風になる」