元芸能トップ記者が太鼓判!? 映画『超高速!参勤交代』で深田恭子、再ブレイクの予感

――数々の芸能スクープをモノにしてきた芸能評論家・二田一比古が、芸能ゴシップの"今昔物語"を語り尽くす!

『超高速!参勤交代』公式HPより。

 仕事柄、映画をよく観る。以前は試写会で観ることもあったが、やはり大きなスクリーンで見て迫力と雰囲気を味わうには映画館に足を運ぶに限る。さらにお客の入りや反応を知るには映画館がいい。北野武も自分の作品を映画館でよく観ていると聞く。監督として出演者として正しいと思う。

 余談だが、『寅さんシリーズ』で人気だった渥美清さんも、映画館で観ていた一人と聞いた。特に寅さん以外のシリアスな映画に出演したときに映画館に足を運んだ際、渥美さんが出てきた途端に、笑う場面でもないのに、館内から笑いが起きたと言う。

 渥美さんは「やはり俺は寅さん以外の映画はダメなのか」と悩み、"脱・寅さん"を果たせぬままに逝ってしまった。

 確かに映画館に個室はない。飲食店のように芸能人とて特別扱いはしてくれない。一般客と同じ席で見るしかない。たまに芸能人と遭遇することもあるが、決まって館内が暗くなり、本編が始まると同時に係員に案内されて片隅の席で観ている。帰りも最後のエンドルールが流れ始める頃には先に帰る。

 以前、岩下志麻さんが銀座の映画館の一般席で知人の女性らしき人と堂々と観ていたことがあった。帰りも一般客と一緒に出て行ったが、ほとんど気づく人はいなかった。意外と堂々と一般客に交じったほうが気づかれないのかもしれない。

 今年も上半期が終わったばかりだが、早くも今年の映画界は『アナと雪の女王』の一人勝ちが濃厚と言う。そして、このように人気を博す映画には、必ずといっていいほどテーマソングや挿入歌がヒットする。『アナ雪』も然り。映画のヒットにあやかりはやくも松たか子と神田沙也加の「紅白」出場も取り沙汰されているほどだ。

 映画は人それぞれ恋愛物、アクション物など好みがあり、一概になにが面白いとはいえないが、ヒットする映画は老若男女を問わず足を運んでいる。新作映画公開に先立ち、テレビなどのメディアで派手に宣伝活動を展開するが、「なんだつまらなかった」と宣伝倒れで終わることも少なくない。

 宣伝よりも「あの映画、面白いよ」という身近な人からの口コミが一番、宣伝効果がある。宣伝費などない単館映画は口コミだけで大ヒットすることもある。最近の映画でも『鑑定士と顔のない依頼人』などが上げられる。

 現在公開中の『超高速!参勤交代』は実に面白かった。1800円の価値は充分にあるだろう。別に著者は映画評論家でもないし、映画会社から頼まれたわけでもないが、この映画は時代劇の観念を変えている。テーマは史実に基づいたもので、福島の弱小藩が五日で江戸までを参勤交代を成し遂げる話だが、よくできている。

 タイトルにある「超高速」という言葉からしてフルっている。時代劇なのに現代語を使っていて、それだけで関心を拝った。いかにも時代劇らしい立ち回りも多少は入っているが、5日間で江戸まで行く工程がアイデアに富み、笑える場面もあって、勧善懲悪を主題にした従来の時代劇とは違う痛快感がある。

 そして人気女優や俳優に頼りがちな最近の映画と違い、出演者の人気に頼らず内容で勝負している。これが本来のあるべき姿だとは思うが、最近の邦画界は「大手事務所がキャスティングしたりするため、先に出演者ありきで映画を作っている」(映画関係者)という傾向にある。

 大ヒットしたドラマ『半沢直樹』と同じく、この映画も役者の演技力と個性を優先してキャスティングしている。ここには「先に作品ありきで、役に合わせて役者を決める」という正しい映画作りがある。

 ヒット映画やドラマからは役者もブレイクする。『半沢』でも下積み生活の長かった滝籐賢一が顔芸でブレイクした。"参勤"も主演、佐々木蔵之介もよかったが、紅一点で女郎役をこなした深田恭子が開花する予感がする。

 深田もすでに若手ともう呼べない女優。数々のドラマなどに主演してきたが、代表作と呼ばれるほどの大ヒットはない。

「愛くるしい顔と巨乳と思われる胸を連想するコスプレが常に注目されてきた」と業界内では言われてきたが、この映画では女郎役らしく汚いセリフも吐き、演技にも迫力があった。

 一見、「この子は誰」と深田とわからなくなる人もいたという。最後は女郎を抜け出しお姫様の格好になり、「深田恭子だ。やはり可愛い」というオチになるのだが、深田の今後に期待が持てる。私生活では数々の男性とくっついたり、離れたしてはマスコミを賑わしてきているが、そんな奔放な私生活も板に付き、演技の幅を広げたかもしれない。

 ヒットした映画やドラマは役者を育てるが、今の人気優先のキャスティングを続けていたら、映画界は衰退する一方だろう。『参勤交代』を映画界も参考にして欲しいと、一映画ファンとして思う。

ふただ・かずひこ
芸能ジャーナリスト。テレビなどでコメンテーターとして活躍するかたわら、安室奈美恵の母顔が娘・奈美恵の生い立ちを綴った「約束」(扶桑社刊)、赤塚不二夫氏の単行本の出版プロデュースなども手がける。青山学院大学法学部卒業後、男性週刊誌を経て、女性誌「微笑」(祥伝社/廃刊)、写真誌「Emma」(文藝春秋/廃刊)の専属スタッフを経て、フリーとして独立。週刊誌やスポーツ新聞などで幅広く活躍する。現在は『おはようコールABC』(朝日放送)、『今日感テレビ』(RKB毎日放送)などにコメンテーターとして出演。

今すぐ会員登録はこちらから

人気記事ランキング

2024.11.25 UP DATE

無料記事

もっと読む