ドラマ&映画界を黒く染められるのか? 第二のジャニーズになるためのEXILEドラマ論

――最近、EXILE TRIBEの面々がテレビドラマや映画に出演する機会が増えている。彼らを映像作品に送り込むLDHの戦略はいかなるものなのか? 今後彼らがドラマ・映画界の台風の目になることはありえるのか?批評家たちによる出演作レビューを交えて、役者としての彼らの実力を問う。

【EXILEは大根ばかり!?注目のLDH俳優班プロフィール!】
※(ド)=ドラマ作品、(映)=映画作品。

EXILEの白いイケメン枠で殴りこみ!―GENERATIONS―
■ヤンキー役も可愛い!
白濱亜嵐
主な出演作:『シュガーレス』(ド)、『セブンデイズリポート』(映)
イケメン成分高めの弟分グループの中でも群を抜いたルックスで、不良役を熱演。今後もLDHのイケメン枠として起用が続きそうな気配がムンムン。


演技できなきゃ劇団の意味なし!?―劇団EXILE―
■『ろくブル』はいまいちでも……
青柳翔
主な出演作:『ろくでなしBLUES』(ド)、『東京難民』(映)ほか
現在29歳と、案外年齢がいっている。まだ当たり役はないが、劇団チームを引っ張って映像界に進出していくべき存在だ。

■ヤなヤツ役がやれる強み
鈴木伸之
主な出演作:『ルーズヴェルト・ゲーム』(ド)、『桐島、部活やめるってよ』(映)ほか
『桐島』ではバレー部の副将役、『ルーズヴェルト』ではライバルチームの卑劣なエースと、嫌な役どころをこなせる若手として期待大。


兄貴たち、しっかり頼みますよ!―EXILE―
■『ジャンボ!!』の棒演技である意味伝説に
MAKIDAI
主な出演作:『町医者ジャンボ!!』(ド)、『白夜』、『恋するナポリタン』(映)ほか
マンガ原作の破天荒な医者役を演じた『ジャンボ!!』での演技に大ブーイング。ファンすら戸惑うレベルの棒読みは、ある種リアリズムすら感じさせた。

■予想以上にハマった新・鬼塚役
AKIRA
主な出演作:『GTO』(ド)、『ちゃんと伝える』(映)ほか
赤西仁の降板で『GTO』主演の白羽の矢が立った。不安視する向きもあったが、元不良でアツい男というハマりすぎるハマリ役で、無事シリーズ化。

■ダサ男も好演するナイス三枚目
MATSU
主な出演作:『ご縁ハンター』(ド)、『晴れのち晴れ、ときどき晴れ』(映)ほか
『ご縁ハンター』でダサ男役をコミカルに演じ、見事役者としての株を上げた。二枚目すぎない愛嬌あるルックスも相まって、今後演技仕事が増えそう。


上り調子の弟分、演技畑は?―三代目 J Soul Brothers―
■『ホットロード』大抜擢で輝く?
登坂広臣
主な出演作:『ホットロード』(映)
名作マンガの実写化であり、主演は『あまちゃん』の能年玲奈とあって注目される『ホットロード』で春山役を務める。演技未経験での大抜擢は吉と出るか凶と出るか。

■深夜枠で健闘
NAOTO
主な出演作:『フレネミー~どぶねずみの街~』(ド)
LDH枠たる深夜ドラマではあったが、EXILE・SHOKICHIとのW主演で見せた絡みに、アンチEXILEも多い腐女子が大歓喜。

■せっかくの『クローズ』がもったいない
ELLY&岩田剛典
主な出演作:『クローズEXPLODE』(映)
ヒット作『クローズ』の新章とされた最新作に不良役で揃って出演。だがこと岩田は実際は育ちがいいせいもあってか、いまいち迫力に欠けたのは確か。



『戦力外捜査官』で演技初挑戦したEXILEのイケメンフロントマン・TAKAHIRO。悪くはないが、イイコちゃんな演技から脱皮するには、キムタクくらいのキャラ立てを体得せよ!

 劇団。かつてその言葉は、テレビなどの大衆メディアとは一線を画し、東京の下北沢を中心地としたアンダーグラウンドな匂いを漂わせ、想起される人物像といえば色白でインテリな演劇青年だった。が、いまや地方のヤンキーたちから絶大な支持を集める超肉体派の色黒ガチムチ集団EXILEが標榜する時代である。そう、劇団EXILEの話だ。近年、この劇団EXILEにとどまらず、EXILE本体からはもちろん、弟分である三代目J Soul Brothersや(以下、三代目JSB)若手を中心に結成されたGENERATIONSも巻き込みながら、ドラマに映画に公演にと、次々に演技のフィールドへ進出しているEXILEグループ。そこで本稿では、ミュージシャンやダンサーとしての活動ではなく、演技者としてのEXILE一派について考えていきたい。

 まず最も目につくテレビドラマにおいては、EXILEから『町医者ジャンボ!!』(日本テレビ)のMAKIDAI、『GTO』(フジテレビ)のAKIRAをはじめ、『フレネミー』(日本テレビ)のSHOKICHIとNAOTO、『ムッシュ!』(TBS)のKEIJIなどが主演を張っている。助演では観月ありさ主演『ご縁ハンター』(NHK)でMATSUが相手役の二番手を好演して話題となったほか、武井咲主演の『戦力外捜査官』(日本テレビ)にTAKAHIRO、EXILE以外で最も注目を集める劇団EXILEの鈴木伸之は、これまで映画『桐島、部活やめるってよ』やドラマ『ルーズヴェルト・ゲーム』(TBS)でそれぞれバレー部・野球部に所属するスポーツマンを演じ、現在も『水球ヤンキース』(フジテレビ)に出演。その他劇団EXILEからは『ろくでなしBLUES』(日本テレビ)主演の青柳翔、またGENERATIONSからは『シュガーレス』(同)主演の白濱亜嵐なども記憶に新しい。さらに映画では『クローズ EXPLODE』に三代目JSBの岩田剛典(EXILE兼任)とELLYが出演、そして8月公開の能年玲奈主演『ホットロード』では三代目JSBの登坂広臣が相手役に大抜擢されている。

 ただし、ドラマに関しては一連の作品でもその成立背景が異なり、『町医者ジャンボ!!』や『GTO』が一般的なテレビ局主導の制作体制と思われるのに対し、『フレネミー』や『シュガーレス』は主演以外の脇役にまでEXILEグループが配置され、リーダーのHIROが社長を務める所属事務所LDHがキャスティングに大きな影響を与えていることがわかる。『ろくでなしBLUES』に至っては、もともとマンガ原作から、劇団EXILEが舞台化した作品のドラマ化だ。

 ではなぜ、ボーカル&ダンス・グループとして誕生し、その分野では文句なく大成功しているEXILEが、これほど演技の仕事へ力を入れているのだろうか。芸能プロダクション関係者いわく、「グループとしては大成功していても、パフォーマーとボーカルでは単独でこなせる仕事の幅が違う。ダンス以外でもやれることを探さなければ、ということで役者の道を探し始めたのでは」という。ボーカル・ATSUSHIのソロ活動も好調の今、パフォーマーのメンバーたちは、ますますEXILEの外で仕事を生み出すことが迫られているのかもしれない。ただし、いくら音楽業界で圧倒的な地位を築いているとはいえ、演技の世界はいうまでもなく別の次元。そんなに甘くないことは容易に想像できる。

「LDHだけではテレビ局のドラマ制作部に顔が利かないので、当初はエイベックスの口添えもあったといわれています。現在もドラマの仕事を取るべく、メンバーも参加してテレビ関係者への連日連夜の接待が行われているようですね」(前出・芸能プロダクション関係者)

 もともと演技の素養がない彼らだが、「劇団の公演では、劇団EXILEのメンバー以外にEXILE本体の人間もかなり出演を重ねており、そこで演技の訓練を積ませている」(同)との証言もあり、その本気具合が伝わってくる。しかし本気とは裏腹に、前出『町医者ジャンボ!!』のMAKIDAIは「棒読みすぎて逆にすごい!」と本来は望んでいない方向で話題を提供してしまったことも事実。

「MAKIDAIさんは、あの大不評に結構ショックを受けていましたよ。現場でもなかなか演技にOKが出なくて、撮影が予定より押したりもしたらしいので、自信喪失したのでしょう。数字はそれほど悪くなかったですが、しばらくドラマはやらないかも、と聞いてます」(テレビ制作関係者)

 となると、自ずと期待の矛先は若手へとスライドしていく。なかでも劇団EXILEは真正面から劇団と名乗るだけあって、役者仕事を主としている。彼らは今後ますます演技の道を極めていくことが予想され、EXILEメンバーよりも期待値は高いようだ。

「GENERATIONSや三代目の子たちよりも、劇団EXILE所属の青柳翔や鈴木伸之のほうがテレビ業界的には期待されていますよ。特に鈴木は『ルーズヴェルト・ゲーム』で演じたようなヒールをやれるのが大きい。今のEXILE・GENERATIONS・三代目のメンバーでは、なかなかそうした役どころを引き受けてくれないでしょう。むしろ、かっこいい役どころが必要になってくる。ゆえにMAKIDAIさんのように、主演なのに一番演技が下手、みたいな事態が起きるわけで。でも劇団のメンバーはまだ知名度が低いので、脇でいい演技をしてくれれば株が上がる。LDH側もそれには気づいていて、マイナーなメンバーを小さい役でも出演させることで場数を踏ませ、ドラマ業界で存在感を示していこうという考えがあるようです」(同)

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