『原爆の廣島』「原爆の廣島」のパッケージ。
「原爆の廣島(Memorial Sceneries of A-Bombed Hiroshima)」と書かれた袋入りの絵はがきが手元にある。絵はがきには、広島市内のいわゆる「原爆遺跡」――原爆ドーム、熱線を受けた屋根瓦、廃墟と化した本通商店街、石段やガスタンクに焼き付けられた影、爆風でずれた元安橋の石灯籠など――の写真が日英バイリンガルのキャプション付きで印刷されている。
裏にはABCC(原爆傷害調査委員会)や縮景園、平和大橋を型取ったスタンプと年代が押されており、1953年以前のものだとわかる。発行は「日本交通公社廣島案内所」とあるから、おそらく占領軍や観光客向けに売られていた広島土産なのだろう。それにしても、8月6日当日のキノコ雲や炎上する市街の様子までもが絵はがきの素材とされていることには、いささか戸惑いを覚えてしまう。